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ヒルズ黙示録 検証・ライブドア(大鹿靖明)

<金曜は本の紹介>

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 この本の筆者はアエラ編集部記者で、ライブドアとヒルズ族に長年密着し、その幹部らと親密な関係を築き上げてきたようで、この本はその取材の中から選りすぐってまとめたもので、ライブドアによるニッポン放送株買占め騒動の全貌や、その後の楽天によるTBS株買占め騒動との関連などを事実に基づいて生々しく、分かりやすく説明したものです。

 また当時の株価の動きの裏も分かりやすく説明してあり、今後の株式投資にも役立つ本だと思います。良書だと思います。

 この本は、2006年1月16日月曜日に六本木ヒルズ38Fにあるライブドア本社へ家宅捜査が入る描写から始まりますが、まずはその遠因ともなったフジサンケイグループ三代目総帥でありながら志半ばにしてグループ内のクーデターによって追われた鹿内宏明のニッポン放送株について説明があります。

 そして、ニッポン放送株買占め仕掛け人の村上ファンドやその代表「村上世彰」について詳しく説明があり、そして村上ファンドはニッポン放送の約17.6%の株を持ち、ライブドアと協力することになります。

 しかし、ライブドアが電撃的な時間外取引によりニッポン放送株約35%の買占め、ニッポン放送の株価が高騰すると想定外の事象が起こります。村上ファンドがライブドアを裏切り、市場でニッポン放送株を売り抜けたためです。この辺りのライブドア幹部と「村上世彰」とのやりとりは臨場感があります。

 それから、4月18日の和解発表までのやり取りの詳細があり、結局ライブドアはフジテレビから1440億円をせしめることになります。

 そして、ホリエモンの衆院選挙への参加、村上ファンドの阪神株の買占め、楽天のTBS株買占め、楽天のTBS買占めに対するライブドアの反撃、そしてライブドアによる「自社株食い」スキームという投資事業組合を使った禁断の果実の資金の流れを図解で詳細に説明などがあります。

 結局、ライブドア事件の発端は、東証マザーズ上場銘柄は東証1部や2部の上場銘柄と違って四半期決算をしなければならないため、ライブドアが四半期決算でも常に収益を稼げる金融部門をビジネスの柱に変え、自社株食いをしたことのようです。本業のホームページ制作請け負いの受注高が大きくなると、必然的に仕掛かりの時間が3ヶ月以上と長くなり、3ヶ月おきの四半期決算とのサイクルがかみ合わなくなるためです。仕方がないことかもしれません。

 それから、本書は主要な登場人物だけでなく、さまざまな人々の生い立ちについても丹念に調べ上げています。特にライブドア幹部たちの生い立ちは苦労が多く、戦国時代の下克上を思わせるようでした。

 とてもお勧めな本です!!

<目次>
第1章 驕る帝国
第2章 パンドラの箱
第3章 仕掛人
第4章 電撃戦
第5章 カツアゲ
第6章 三重奏
第7章 IT許永中
終章  突破者

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<今日の独り言>
 最近シャガールの本を買いました。分厚い割には1900円(税抜)とお得でした。時間がゆっくりできた時にはこの絵を眺めたいと思います・・・。ってその時間がなかなかないんですけどね^_^;)

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