<金曜は本の紹介>
この「うらおもて人生録」という本は、阿佐田哲也(朝だ徹夜だ!)名義で、「麻雀放浪記」など多くの麻雀小説を手がけた色川武大さんが、その人生体験を基に、劣等生向けに書いた教育書です^_^;)
小学生のころ好きになった友達の話、戦争時代の中学の話、スリになれずバクチ打ちになった話、会社員生活などから、その教訓などについて分かりやすく説明してあります。
特に、以下等について述べてあります。
・バクチ打ちは先取点が大事だが、人生は先に負けることが大切
・人生は無事で長くやることが大切で9勝6敗が理想
・一カ所で淀まず、ゆっくりと一段ずつ進み、後戻りはしないこと
・守り腰だけでは勝てない。チャンスを見とって攻めて出る勇気も必要
とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・ばくちのときは先取点が大事で、実力に大差がなければ、これで7割ぐらいきまる。このあと勝ったり負けたりたがいちがいにツキの波が来て、そうしてまた一点勝ったところでやめる。7割が先取点、3割が止めぎわだ。実生活でも本質的にはそうなんだけどね、実生活は、ばくちとちがって、ただ勝ちゃあいいというわけにはいかないからね。俺の実感としては、実生活では、負け星が先、それから勝ち星。先に負けておいた方が、勝ちやすいということが、まず第一にあるだろうな。
・お相撲さんで、わるい体勢になってもねばって、敢闘精神を発揮した結果怪我ばかりしている人がいる。逆に、負けそうになると、怪我をしないように、すっと土俵を割って、長年無事に平幕でがんばっている人がいる。相撲は、無事で長くやるだけがいいかどうか、むずかしいところだけれども、実人生は、とにかく長いからね。それに毎日が本場所だから。だから、どうしたって、勝ったり負けたりなんだよ。これはもう、しつこく記してきたけれど、9勝6敗が理想だからね。怪我につながる負けはいけない。怪我につながる勝ちもいけない。目先の勝ち星にこだわって、怪我したんじゃなんにもならない。無事是名馬。怪我ってのはどういうことかというと、実人生の場合は、拭いきれないようなこと、だね。日々の小さな戦いで勝ったり負けたり、それでケリがつかずに、この先にも影響を与えそうなこと、これを称して怪我というんだがね。
・誰かに負けたとしようか。君は受け身で、怪我のないように倒れて、自分が負けたことを天下に公言する。ということは、君が、勝った相手の片手を高々とあげてやったことと同じだね。この場合、その勝った相手が座をはずしているときにやれば、なお効果的だな。そういうことはすぐに当人の耳に届くし、自分がいないところでのよい噂は、わるい気持ちがしない。それで君は、負けながら、その相手に得点を稼ぐね。勝った方は、すくなくともその時点で、君(が生きていること)を許してくれているよ。これは小手返しといってね、ポーカーなんかでは重要で高級なセオリーですよ。
・自分の家なんか、持たない。引っ越し狂でね。ひとつの借家に3年いたことはない。俺なんかは、仕事の性質上、自分に満足しちゃいけないんだ。ここが自分の安住の地だ。もうこれでいいんだ、と思ったら、俺なんかなまけ者だから、なんにもしなくなるからね。いつも、背水の陣みたいな条件を自分に課していた方がいい。
・①1カ所で淀まない。
②ゆっくりと一段ずつ、あわてないで。
③しかし後戻りだけはしない。
この3つの自分で定めた戒律だけは守っていこうと、ただそれだけ思っていた。後戻りできないとなると、もう移るところがすくないんだ。それでフリーランサーになることを考えたね。26ぐらいのときかな。会社づとめをやめちゃった。
・勝負は、圧倒的に、先ををとっていく方がいい。実生活の勝負はところどころでゲームセットになるわけじゃなくて、一生涯、続くんだからねだから、結果は最後にしかわからない。そのかわり、先をとったら、ずっと先をとって一生すごすこともできる。これが大きいね。勝ち味を早くする練習の必要があるようだな。
・自分にはこのコースは向いてない。駄目だ、というものを消していってみるんだね。弱点の方がはっきりしてるから、努力しても無駄なコースは行かない方がいい。どの道だって、プロなんだから、努力して人並みになるくらいの才分じゃ通用しない。それよりも、ツボにはまったところで努力する。ずっと消していって、残りのコースが少なくなると、やっぱり自分でも必死になるからね。ここでなくちゃ生きられない、という思いの方が、道をひらくと思うな。
・俺はその頃、ばくちをやっていた頃だからね。猫たちを見ていて、ふうんと思ったな。危険を避けているだけじゃ駄目なんだねえ。やっぱり、聡明でなけりゃねえ。バランスということを、これまでたびたびしゃべってきたけれど、一見、バランスをとって、堅実にやっているように見えて、実はただの守り腰になっていることが多いんだ。再々いうように、守り腰だけでは勝てないんだからね。で、チャンスを見取って攻めて出る勇気も必要だし、物事を大きく正確につかむための広い心も必要になるね。バランスというのは、自然の風にうまく自分を乗せることだからね。だから人生はむずかしいねえ。
<目次>
さて、なにから
人を好きになること
男女共学じゃないから
速攻性とは別の話
劣等生の弁
学歴というもの
俺の中学時代
トコロテンB29
優劣に大差なし
もう手おくれかな
戦争が終わった時
掏摸になれない
どこも辛抱できなくて
プロはフォームの世界
一一三の法則
9勝6敗を狙え
立ちどきの問題
黒星の算えかた
運は結局ゼロ
実力は負けないためのもの
眺めるということ
また予選クラス
何を眺めるか
無人島での関係
嫁に行った晩
まず負け星から
負けてから打ち返し
マラソンのように
受け身と小手返し
我は狐と思えども
天使のような男
俺は淀まないぞ
だまされながらだます
八百長じみた贈り物
大きな得点を与えれば
向上しながら滅びる
一歩後退、二歩前進
バックして走る
自分から二軍に行って
スケール勝ちが一番
前哨戦こそ大切
動いちゃいけないとき
追い討ちはやめよう
先をとること
勝ち癖負け癖
一病息災
一病の持ちかた
つけ合わせに能力を
欠陥車の生き方
最高の生き方
野良猫の兄弟
お母さま方へ
桜島を眺めて
球威をつける法
おしまいに
<今日の独り言>
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