「ケトン体が人類を救う」という本は、自ら糖質制限を行って糖尿病を克服した医師がその実体験の内容や、妊婦の糖尿病患者への糖質制限による克服、学会での糖質制限に対する非難やその誤解、現状の栄養学の常識が間違っていて低カロリーではなく低糖質が大切なこと、脂肪分解の代謝時に生まれるケトン体や、その糖質代謝ではなく脂肪代謝を活用したケトジェニックな生き方が健康であること等について分かりやすく説明したものです♪
実は体内のエネルギーのメインと考えられていたブドウ糖を使った代謝は、長い人類の歴史からはサブであって、本当は脂肪の分解によるケトン体代謝がメインであり、そのため脂肪やタンパク質を食べ、米や小麦、砂糖等の糖質はあまり食べない方が良いとはナルホドと思いました♪
また人類は約3千年前からの農耕により飢えが減りましましたが、急激な糖質依存はその人類の進化に追いつかず、糖尿病やてんかん、アトピー、認知症、アルツハイマー病、歯周病、がんなどを引き起こしているようです。
もし、糖質制限が世に広まり、糖尿病やガンなどの病気が減るのであれば、世界中の人が健康となり平均寿命が延びるだけでなく、国家の医療費削減にもつながり、とても良いことだと思います♪
(逆に医薬業界やお医者さん、農家、糖質系メーカーやレストラン等は今後大変かもしれません^_^;))
私自身も100%ではありませんが糖質制限は実施していて、体重は最大約25kgは減りましたし、風邪もほとんどひかず健康で、今まであった偏頭痛もなくなって頭はスッキリですし、あまり疲れたり眠くなることもなくなり至って健康でとても満足していて、この説は信じたいと思います。
また、本書は今まで読んだいろんな糖質制限関連図書の中では非常に分かりやすく、また人類の進化も踏まえてよくまとめられていて非常に満足しています♪
著者が本書を出版した大きな理由は以下の2つとのことです。
(1)糖尿病で苦しんでいる妊婦さんとそのお腹の子を救いたいという切迫した思いがあるから。
(2)糖尿病や肥満で苦しんでいる人、また、そのために糖質制限を行おうと思っているが、「危険だ」と言われてためらっている人に、新しい事実を伝えたいため。つまり糖質制限の考え方は決して危険なものではなく、むしろ糖質を制限すことによって起こる「ケトン体代謝」の状態が、本来の人間の身体には適した状態だということです。
「ケトン体が人類を救う」という本は、とてもとてもオススメな本です!
以下はこの本のポイント等です。
あまりにも長文となってしまいましたので、二つに分けます。
・具体的には糖質摂取をやめ、タンパク質・脂質を中心とした食事に変化させ、ブドウ糖を使った代謝から、ケトン体(体内の脂肪の分解によって生まれる物質)代謝に変化させることで、体の状態は劇的に改善されるのです。従来危険とされてきたケトン体代謝は、実はまったく危険ではなく、出産の際にもその後も、母子ともに何の問題も発生させないことがわかってきました。
・ケトン体というのは、ヒトが糖質を摂取しなかったときに、脂肪を分解して栄養にする代謝に変わって、そのときに出てくるものです。このケトン体が血液中に多くなる「高ケトン状態」は、これまで(そして今現在も)、胎児や赤ちゃん、妊婦、それ以外の人にとっても、非常に危険な状態だとされてきました。胎児に関しては、高ケトン状態にあると、知的発達の遅れた子になるなどとも言われて脅かされてきました。ところが、お腹の中の赤ちゃんはみな、お母さんが糖質制限をしているしていないに関わらず、血中のケトン体濃度がとても高いのです。生まれたばかりの赤ちゃんも、また生まれてから数週間した赤ちゃんもとても高い。それは、胎児および赤ちゃんが「ブドウ糖を使った代謝」ではなく「脂質(ケトン体)」を使った代謝」をしているということを示しています。このことは、何を意味するでしょうか。私はケトン体代謝こそが、人の本来の代謝であったのだということだと思っています。そしてブドウ糖や炭水化物に依存した現在の人々の食生活を見直すこと、ひいては栄養学のこれまでの常識を見直すことが、より多くの人々の健康をさらに増進するきっかけになると思っています。
・最近ではケトン体をめぐるそのほかのいろいろな事実も明らかになってきました。ケトン体は小児のてんかんの治療に始まり、おそらくは多くの小児の食欲不振やアトピーなどの治療にも関与し、また認知症、アルツハイマー病、歯周病、低血糖症やアンチエイジングの治療にも役立ち、がん治療にも応用され始めています。これまであまり注目されてこなかったケトン体ですが、ブドウ糖ではなく「ケトン体で生きること」は、これら近現代に起こってきた多くの病気に対する大きな武器になるでしょう。
・今の栄養学では、間違っている6つの説(神話)があります。それをご紹介しつつ、この本で伝えたいことのポイントをまず最初に簡単にまとめておきます。
1.カロリー神話
血糖値とカロリーには何の関係もない。にもかかわらず、カロリー制限で糖尿病を治そうとする矛盾。無意味でかえって悪化させる。低カロリーは体力が落ち、生活に支障が出るうえに、皮肉なことに低カロリーなものには炭水化物が多く、かえって糖尿病は悪化する。カロリーではなく、糖質量に注目して食事の管理をすれば、血糖値を管理できる。薬を使わなくても血糖値を管理できる。
2.バランス神話
食事は「バランスよく」と言って、じつは炭水化物を60%もとらせる。タンパク質、脂肪は、それぞれ20%である。ところがこの栄養比率には、学会も認めるように、何ら根拠がない。それなのにこの比率は金科玉条となってすべてを拘束している。
3.コレステロール神話
必須栄養素を完全に満たすには、肉や卵やチーズはもっとも簡単な食品である。しかし、お肉や脂肪は、今までは「コレステロールが上がるから食べ過ぎないように」と教えられている。この考えはついに公式に否定されたが、ほとんどの医師や栄養士は、いまだこれを理解していない。
4.脂肪悪玉説(肉・動物性食品悪玉説)と、
5.炭水化物善玉説(野菜・植物性食品善玉説)
肥満は脂肪が原因、これはほとんどの人がそう信じているが、これこそが間違いであって、肥満は糖質過剰摂取で起こる。
6.ケトン体危険説
ケトン体は危険な物質であるというのは、20年前の知識で、もはや前世紀の遺物である。今はケトン体は胎児、新生児のエネルギー源であって、健康と、アンチエイジングのエネルギー源である。
・これらの大きな間違いが相互に補完しあうことで、炭水化物・糖質が中心の低カロリー食が推進され、今やますます、肥満、糖尿病、成人病、小児糖尿病を増やしており、それを膨大な薬剤で治療しようという馬鹿げた医療が進行中である。これらの説に基づいた治療法は、完全に方向性が間違っているにも関わらず、ほとんどの医師は気がついていない。多くの医学会がガイドラインで治療内容を拘束しているため、自由に考える医師集団はすでに壊滅している。
・私は糖尿病になり、糖質を制限することを始めて、1か月が経ちました。驚いたことに、それまで何をやってもやせたことのなかった60年間の人生でしたが、初めてきわめて大きくやせ始めたのでした。体重は順調に減っていくものの、思いのほか身体はつらくないし、おいしいものも十分食べていて満足感もある。糖質をとらず血糖値の上下がなくあるため、お腹がすく(ように感じるまやかしの)感覚がなくなり、朝食・昼食をとらなくても空腹間はありません。このころ職員は、私が一時の思いつきで朝食も昼食もとらない生活を始めたようだが、長くは続かないだろうと思っていたと思います。朝はコーヒーのみ、午前中の診療を終えて、昼もコーヒーのみで過ごす。その後は、たまった書類に目を通してまとめたり、小手術などをこなす。夜は肉・魚を中心としたおいしい夕食をたっぷり食べて、満足。意外なことに、1日1食は、とても効率よく感じ、つらいわけでもなく、それどころかすべてにおいて快適でした。開始1か月後の3月にはHbA1cも9点台から7点台になり、体重も減り、γ-GTPまでが改善しました。糖質制限を始めるころに、たまたますでに予約してあった人間ドックを受けたのですが、このときのいろいろな検査の数値は、半年後にはすべての指標で改善されていました。これにはさすがの私も、驚きを禁じえなかったものです。このときに私が体験していたことは、「医者にかからずによくなっていく病気」の経験でした。それをほかでもない医者の私が体験しています。驚きの連続でした。
・たとえば、人間ドックの結果では、腹囲、体重、腹部CTによる皮下脂肪と内蔵脂肪の量の数値などから、メタボを指摘されていて、これに対する医師の指示は「お肉や脂肪を控えて、野菜を中心に食事をとりましょう」でした。しかし私は、この半年間は、まったくその反対をやってきた。その結果、腹囲も体重も減り、皮下脂肪も内蔵脂肪も半分になり、メタボではなくなったのです。驚いたことには前年に指摘されていた高血圧まで治ってしまっていました。これはなぜだろうか?医者ながらに驚きました。私の中にあった「医学の常識」が、音を立てて崩れ始めたのでした。
・糖質を抜いた1日1食の生活で、体重は半年で86kgから69kgに減り、γ-GTPは288から60IU/Lへ正常化し、HbA1cは5点台の正常値になり、随時血糖値も89mg/dlと落ち着いていました。糖質をとらないでいたので、血糖値が改善されるだろうことは想定の範囲内でしたが、脂肪肝と高血圧まで解決できるとは思っていなかったのです。このころから、何か今までの自分とは違う不思議なパワーに出会ったような気がしていました。何より、糖質制限を続けていると、体調が変化していくことが感じられます。不思議だったのは、居眠りをしなくなったこと。朝が早くなったこと。夜の1食でしたが、寝付きがよくなり、食べたらすぐに寝てしまうこと。睡眠は深いし、目覚めはさわやかで、仕事でも集中力が増した気がします。
・長年の悩みだった「肥満」も解決する見通しが立って、糖尿病からも離脱して、脂肪肝も治って、高血圧も嘘のようになくなって、あらためて考えたのは、今、世の中で主におこなわれている医療って、何だろうー、ということでした。医者の常識からはまったく逆のことをやっていた私は、生還したのです。薬もまったく使わず、運動もせず、粗食に耐えたわけでもなく、さしてつらいこともなく、かえっておいしいものを選んで食べまくって・・・、その結果、やせて健康になったのでした。
・たとえば高橋みちお著「ヒトはおかしな肉食動物」(講談社)によれば、消化器の構造からいうとヒトは草食動物ではなく、虎やライオンに近い肉食動物であるとあります。肉食動物が、妊娠出産時に肉食であっても困るわけはないはず・・。
・「胎児は絨毛で作られたケトン体を主な栄養源・熱源・エネルギー源にしています」これが答えです!!そしてこのことは、
①ヒトが本来、糖質ではなく脂肪などを主な栄養源にしていた食物史を暗示させる
②「ケトン体は危険である」と糖質制限食を批判する日本糖尿病学会の主張に根拠がなくなる
これら2つのことを意味します。
・「妊娠中にケトン体が高いままに生まれた子は、2歳~5歳時の知能指数が下がる」という1991年に出された米国のRizzoT.らの「分娩前の母胎の代謝と子の知能との相関関係」という論文があるのです。この論文が、日本の多くの内科医、産婦人科医の信じる「ケトン体悪者説」のもとになり、トラウマになっているのですが、詳細に調べてみると、この論文で問題にしているケトン体値は、「グループ①:グループ②:グループ③=140:170:180(μmol/L)というずいぶん低いレベルでの比較です。ちなみに、グループ①は正常妊婦、グループ②は妊娠糖尿病妊婦、グループ③は糖尿病妊娠妊婦です。低いとはいっても、76以下が基準値ですから、それに比べれば少し高くはあるのですが、私たちが見たケトン体値よりはずっと低い。しかも、妊娠後期の妊婦における値でる。私たちの検査では、妊娠初期に、つわりのひどい妊婦(あまり食べられない)ではケトン体は3000にもなります。胎児の脳は妊娠初期~中期に作られるのであって、分娩前後のケトン体値を140と180とで比べても、ほぼ意味がないことは自明です。またデータの過大評価も気になります。妊婦を3つのケトン体レベルに分けて、生まれた子の2歳時、3歳~5歳時の知能発達を比較しているのですが、妊娠中期にはケトン体値は、「100:130:180」で比較し、この時期では「有意差はない」としています。これに対し後期の「140:170:180」では有意差があるというのです。しかしこれは統計学的には、かろうじて有意な差があるといえるレベル(P=9.20~0.21)です。このくらいのケトン体値で知能指数が下がると言い切ることは、明らかにデータの過大評価でしょう。また、妊娠後期よも妊娠中期のほうが、脳の形成にはより大きな役割を果たす時期だと思われますが、その時期には有意差がないなどのデータは無視されています。じつはこの論文の問題とする知能指数の低下は、糖尿病の血糖管理の悪さを反映したものと思われます。ケトン体には問題はないのです。もしケトン体が脳に悪いことを起こすのなら、古来から存在する「つわりの妊婦」(あまり食べられないので高ケトン体になりやすい)の産む赤ちゃんは、すべからく知能低下の危険をはらんでいたことになります。何よりも「高ケトンの絨毛-胎盤」の中で暮らして成長する胎児はどうでしょう。みなが危険であることになってしまいますが、そんんことはありませんね。
・図4-3の食事内容を見るとわかるように、どら焼きやお寿司、アイス、カニピラフでも、400になります。ベーコンとチーズとナンの食事でも、タマゴサンドでも、海鮮丼、ナポリタンでも血糖値は350になります。それが糖質にあたるもの、米やパンをやめてもらうと、速やかに血糖値は下がって、7日目には150以下になってしまいます。「カロリー」はまったく関係ありません。高カロリーのローストビーフやハムエッグを食べても血糖値は上がらず、どら焼きやアイスで上がるのです。つまり米やパンやパスタなどの麺類、お菓子類をやめれば、たちまち血糖値は正常化します。
・ケトン体とは、脂肪酸ならびにアミノ酸の代謝産物です。アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体と言います。ケトン体は脂肪酸の分解により肝臓で作られ血液中に出されます。このうちβ-ヒドロキシ酪酸は、ケトン基を持っていないので、厳密に言えばケトン体ではないのですが、医学界でも生理学界でも、長年習慣的にケトン体に含めています。
・このケトン体は、心筋、骨格筋、腎臓など、さまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されています。人体に日常的に存在しているもので、まったく毒性はありません。基礎代謝の多くを占める骨格筋や心筋は、エネルギー源のほとんどが脂肪酸-ケトン体です。つまり、私たちはごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。ところが、一般に医者の誰に聞いても、ケトン体は悪いものであって、尿中にでも血液中にでもこれが出ていたら、飢餓か糖尿病の悪化かと言われてしまいます。これほど無害で、大切な役割を果たしているものを毒物や悪魔のように思っているのです。
・食事をとらずにいるときのことを考えてみましょう。糖質エンジンのほうは、体内に貯蔵しているグリコーゲンは200~300gくらいですから、わずか1000kカロリーくらいしか持ち合わせがありません。ですから、体の外から補給しなければ12時間くらいでなくなってしまいます。それに比べて貯蔵脂肪は圧倒的にたくさんあります。体重60kgで、体脂肪率が20%の場合、12kgの脂肪がありますから、10万8000kカロリーにもなります。このくらいの貯蔵量であれば、1日2000kカロリー消費しても50日以上生活できることになります。ですから、朝食を食べられなかったり、たまたま食事ができない日が続いても、心臓が止まったり、呼吸筋が止まったり、歩く筋肉が使えなくなることはないのです。この「脂肪を使ったエネルギー」こそケトン体エンジンなのです。
・ほかの生物では、ケトン体の働きはもっとはっきりしています。たとえば、冬のシベリアに向かって飛んでいく渡り鳥は、どんなエネルギーで飛んでいるのでしょうか。こえは蓄えた脂肪を燃やして飛んでいるのです。糖質エンジンはじつは効率が悪くて長く飛べるようなエンジンではありません。動物の身体に蓄えられるエネルギー源はじつは脂肪である場合が多く、糖質は一時しのぎのエネルギーであって、補給を頻繁にしないとすぐに枯渇してしまいます。卵生で生まれる両生類、は虫類、そして鳥類は、ほ乳類よりも先に発生して、これらを土台にしてほ乳類は進化してきました。卵生の動物は卵の生育も孵化も、糖質がない条件で行われています。糖質エンジンがない場合が多いのです。生命体の発生に深く関わっているのはブドウ糖ではなく脂肪だということは大変興味深いことです。
・これまで「飢餓のときなど、糖質エンジンが働けないときのサブエンジン」だと思われてきたケトン体エンジン。しかしこの脂肪酸を使うエンジンこそが、心筋や骨格筋を動かすエネルギーの源であり、寝ているときなど何も食べていないときでも、静かにしかし確実に動いているのです。ブドウ糖エンジンは、激しい運動のときや糖質をとっているときのエンジンであり、人体では赤血球だけが「ブドウ糖のみ」を使える細胞です。脂肪酸やケトン体は、細胞内のミトコンドリアで代謝されますから、ミトコンドリアのない赤血球ではブドウ糖しか使えないのです(とはいえ糖質を摂取せずとも肝臓でのアミノ酸など使った「糖新生」でもブドウ糖は作られます)。しかしそれ以外の臓器では、たとえ「脳」でもケトン体が使えます。脂肪酸は分子量が大きいため血液脳関門を通過できませんが、ケトン体は通過できますし、最近ではむしろ脳神経系はブドウ糖よりもケトン体との親和性があり、ケトン体は脳にとっては保護的な作用があると言われています。
・①従来の考え方-脳が使えるのはブドウ糖だけ
脳はブドウ糖しか使えない。だから「ブドウ糖=糖質=炭水化物」を必ずとらないといけない。栄養のバランスでも炭水化物が60%は必要である。脂肪酸は血液脳関門を通過できないので脳は脂肪酸をエネルギー源として利湯できない。(※著者注:ケトン体は脳血液関門を通過できますが・・・)。
②少し進歩した考え方-ケトン体はサブエンジン
ヒトの身体には、ブドウ糖を使うエンジンと、脂肪を分解してケトン体にして、これをエネルギーにするケトン体エンジンの2つが存在する。「ブドウ糖が枯渇した状態で脂肪酸が燃焼するとき」、肝臓ではケトン体(アセトンとアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸)という物質ができる。普段はヒトのエンジンは、ブドウ糖エンジンを使っているが、飢餓などの特殊なときにのみ、ケトン体エンジンを使うことができる。ケトン体は飢餓や非常時のためのサブエンジン、第2のエンジンなのだ。
③私たちが到達した考え方-ケトン体はメインエンジン
飢餓ではなくても、日常的にもケトン体エンジンは働いている。血糖値が正常値80であってもブドウ糖エンジンは動いているように、ケトン体エンジンも、β-ヒドロキシ酪酸が76と基準値(とされる値)であっても働いていて動いている。脂肪が分解されて代謝される限りエネルギーは産生される。その主な臓器は心臓や骨格筋である。また寝ている間などは主にケトン体エンジンが動いている。今までは「脳はブドウ糖しか使えない。だから毎日ブドウ糖が必要」と言っている人が多くいたが、実際は脳はケトン体が大好きで、むしろケトン体のほうがエネルギー源としてふさわしいくらいである。小児の重症てんかんにケトン食が効果的であることは証明されており、最近では認知症やアルツハイマー病など脳の萎縮や退化にケトン食が注目を浴びているのもそのためである。
・これまで「通常、脳はブドウ糖しかエネルギー源として利用できません。だから必ず糖質、炭水化物を脳のためにとらなければなりません」と言われてきました。しかし、ヒトの歴史を考えてみれば、食料があふれる時代はなかったのです。飢えとの戦いが多かった時代には、糖質をとれば、これを飢餓に備えて脂肪として蓄え、脂肪をとれば、これは効率が良い、持久力のあるエネルギーとしてケトン体エンジンに使われていたのであって、「サブ」とか「非常時」のエンジンではなくじつはケトン体エンジンが「メイン」のエンジンだったのです。最近のように糖質が豊富に存在し食べられるようになってから、ブドウ糖を使ったエンジン日常的に使うことが多くなっています。しかし、使いきれないくらいの糖質を摂取してしまうために、それを脂肪にして蓄えるようになって、肥満や糖尿病が増えてきたのです。その証拠に、人には「血糖を下げるホルモン」は、インスリン1種類しかありません。しかし「血糖を上げるためのホルモン」は5種類も存在しています。ヒトの歴史が豊富な食料を前提にしていたわけではないため、低血糖で苦しむことを避けるための安全装置はいくつも存在したということなのです(糖質を直接とらずとも肝臓で糖新生によってアミノ酸からブドウ糖を作ることができます)。
・通常は細胞が必要なエネルギー(ATP)は、グルコースが解糖系からピルビン酸とアセチルCoAを経て、TCA回路(クエン酸回路)へと代謝され、さらに酸化的リン酸化によって産生されます。このときにグルコースからATP変換されるのは、1分子から2分子です。一方、脂肪酸からエネルギーを産生する場合は、脂肪酸が分解(β酸化)されてアセチルCoAになり、このアセチルCoAがミトコンドリアのTCA回路で代謝されてATPを作り出します。このときの脂肪酸酸化はたとえば活性化されたパルミチン酸のβ酸化は、7サイクル繰り返されるので、パルミチン酸からは8分子のアセチルCoAができて、それぞれ12分子のATPが生じますか、最終的には129分子という多くのATPが得られます。これはブドウ糖の場合に比べてかなり大きなエネルギーになります(「ハーパー・生化学」原書27版訳本P157、丸善)。つまり同量の材料から生み出されるエネルギーの大きさがまったく違うのです。ケトン体は非常に効率的なエネルギーと言えるものなのです。
・「ケトアシドーシス」という呼び方自体に問題があることがわかってきます。火事(アシドーシス)で現場に駆けつけたらケトン体がたくさんあった。そこで火事の原因をケトン体に違いないとして「ケトアシドーシス」という名前を付けた。インスリンが不足してブドウ糖をエネルギーにできない火事の現場で、ケトン体は自らがエネルギーとなって、必死に体を助けていました。ケトン体は火事を消そうとしていた消防士だったのにも関わらず、その後もずっと犯人にされてしまったのです。「糖尿病性ケトアシドーシス」とは、本来「インスリン不足高血糖制御不能状態」というべきであって、ケトン体には何も関係ないのです。ですから、「ケト」の字を抜いて「糖尿病性アシドーシス」と呼ぶべきなのです(これは重要です!)。インスリンを投与して高血糖を抑えればケトン体は消えますが、これは消防士が引き上げて正常任務に戻ったのであり、「ケトン体さんご苦労様でした」というべきところです。
・この構図は、何か似たような冤罪事件を思い出させますね。そうです。「コレステロール」です。血管にプラークができて、狭窄を起こしていた。そこでその場所を調べたら、コレステロールがたくさんへばりついていた。血行を悪くする、この動脈硬化の原因はコレステロールに違いない!これを退治すれば動脈硬化は治るし予防できる!こうしてコレステロールを犯人にしてしまいました。ところがコレステロールはじつは細胞膜の補修や脂肪の代謝や神経の製作をしながら血管の修理もやっている宅配便+便利屋さんだったのです。最近、このコレステロールを減らす薬を使うと、かえって脳や神経に異常をきたすことがわかってきました。コレステロールは無罪だったのです。コレステロール同様にケトン体そのものには何の毒性もありませんし、強い酸でもありません。たとえ基準値が20~80のβ-ヒドロキシ酪酸が100倍になっても、ふつうに暮らせますし、体はかえって快適です。私も糖質制限を始めたころは、ケトン体は2000を超えていましたし、今も600~1000くいはあります。気持ちよく肉食を続けたらすぐに2000以上になります。これが血糖値の場合には、もし基準値100の5倍になれば意識障害が来ますし、10倍になって1000になったら放置すれば命は失われます。高血糖ははるかに危険です。血糖値はきわめて狭い範囲に制御されなければならないのです。ところがケトン体は無害ですから10倍になっても何も起こりません。
・今では糖質制限をしている方たちは、ケトン体を血液や尿で測っては、これをFacebookで紹介して、高いケトン体値を朝のあいさつ代わりにしています。1000以上のケトン体値を目標にしているくらいです。ケトン体で大騒ぎする医者と対照的ですね。これを「ケトジェニックな生き方」と言います。糖質エンジンをやめてケトン体エンジンのみを動かすという生き方です。集中力が増して、頭が冴える。やたらに居眠りなどしんで早寝、早起き、疲れを知らないなど利点がたくさんあります。もちろんメタボや糖尿病、歯周病まで治ってしまうというすごさもあります。おそらく日本のほとんどの医師は、ケトン体が高いと聞けば栄養失調ではないかと言い、糖尿病専門医はケトアシドーシスだと驚くことでしょう。もはや素人のほうが、ケトン体で生きるということに対する理解者は多いかもしれません。どんなときでもケトン体は、ひたすら脳や心臓や骨格筋(遅筋)などの運動を支えている「効率的かつクリーンで安全」なエネルギーなのですが(車で言うハイブリッドエンジンの電気エンジンのほうですね)、まだまだ知らない方がほとんどなのです。ヒト以外でお、肉食動物ではケトン体エンジンが主であって、それぞれの種の進化の過程で、効率のよい環境に適したものになってきたのです。鳥の卵を見れば明らかですが、卵の中は脂肪とタンパク質だけで、いわゆる「バランス」というならまったくバランスは悪いのです。この場合の栄養比率は、「糖質ゼロ」ですから。でもそれが、鳥にとっては完全な栄養となっています。そう考えると、胎児に糖質が必要なのでしょうか。もし必要だとしても赤血球が有核から無核になっていく成熟期以降に赤血球の栄養の分だけがあればいいのではないでしょうか。もし胎児が脂肪をエネルギー源としているとしたら、今の妊娠中の食事指導はどう考えたらよいでしょうか。妊娠中は炭水化物を普段よりもたくさんとることを勧められていますがそれでよいのでしょうか。
・700万年前から生存してきたヒト属は、20種くらいに分類されていますが、我々ホモ・サピエンス以外は絶滅しています。ヒトが現在の脳の発達に至った重大な契機は、肉食だったと言われています。アウストラロピテクスは500mlの脳でしたが、そこから草食のパラントロプスと肉食のホモ・エルガステルに分かれていきます。パラントロプスは脳は500mlと変わりませんでしたが、肉食であったホモ・エルガステルは900mlになります。ホモ・エルガステルこそは、今の人類ホモ・サピエンス(脳の容量は1400ml程度)の祖先です。そして草食のパラントロプスは絶滅します。脳が巨大化した原因のすべてはわかっていませんが、肉食が有利だったことは間違いないと言われています。チームで狩りをすることでエネルギーを使う脳は栄養のよい肉を必要としたと言います。きわめて長い時間で考えると、現在のヒトは肉食を選んで生き残ったのです。草食で滅びたパラントロプスの例を考え、また、今巨大に膨れ上がった地球上のヒト属の人口を炭水化物が養っているということを考えたとき、またその食事がさまざまな病気を引き起こしていることを考え合わせると「炭水化物は人類を滅ぼす」という表現もあながち大げさではなく納得のいくものと言えます。
・700万年の人類の歴史があるとすると、はじめの699万年以上は、ケトン体エンジンが中心だったのでしょう。ここ3000年くらい前から、新しい糖質エンジンを使うことが次第に増えて、ケトン体エンジンは、主に表に出ないところで仕事をしています。でも、脂肪をとっている人類が、このケトン体エンジンに毎日お世話になっていることには変わりがありません。よく「体脂肪が分解して」などとも言われますが、実際には食べた脂肪が先に使われるのです。ケトン体エンジンと糖質エンジンとの関係を兄弟にたとえてみます。ケトン君は、もともと長い歴史のあるエンジンで長男ですから自己主張もしないで、濡れ衣にもじっと我慢しています。控えめで縁の下の力持ち。糖質エンジンが動き出すと、静かに奥に引っ込んで、でも休まず働いています。派手好きでわがままで切れやすく持続力がない次男の糖質エンジンボーイは、すぐにエネルギー切れを起こすし、効率も悪いのですが、麻薬の成分を持っていて脳に入り込み、依存状態を起こします。結構人体にしぶとく結合していて、今は主人公のような顔をしてのさばっています。ケトン君は貢献度は大なのに、いまだに誤解が解けないのです。火事が起きると、その原因は糖質のとりすぎと火を消せないインスリンの欠乏、つまり膵臓のβ細胞を持つランゲル君の怠慢なのに、まじめな働き者のケトン君が悪者扱いです。私たちのこれからの仕事は、ケトン体の無実を証明して、表舞台に出してあげることなのです。
・なぜケトン体がこれほどまでに悪者になってしまったのか。これはいくつかの思い込みや古い論文の間違いを検証しないままに鵜呑みにしてきてしまったことが大きいと思います。ケトン体が誤解されてきた最大の原因は、「ケトン体が飢餓のときに上昇する」と言われてきたことです。たいていの医学書にはケトン体が上がるときは「飢餓」とか「飢え」ということが書いてあります。ヒトの歴史では飢餓というのは日常的なことでした。食べるものがないということは割とあたりまえでしたから、それほど変わったことではなかったのです。ですから空腹にも人は慣れていたし、それに対しては強くもあったのです。今は簡単に食べられるクッキーや菓子パンをはじめ、ペットボトルに入った甘いジュースや飲み物などがたくさん出回っています。それらはヒトの長い歴史にはなかったもので、ここ50年間の食物の変化で生まれてきたものです。瞬時に血糖値を上げることのできる飲み物が発明されたのはごく最近なのです。「バランスのいい食事」という表現もよくされています。いろいろなものを平均して食べることがバランスがよく、それが正しいと思っている方は多いと思います。ではパンダは何を食べているのでしょうか。コアラは何を食べているのでしょうか。ライオンは何を食べているでしょうか。主食と副食とを両方食べたらバランスがいい?これはすべて人間が作った概念です。大切なことは必要なものを必要なだけ食べることだと思いますが、今は炭水化物を60%、タンパク質を20%、脂肪を20%とることがバランスがいいとされています。それなら百歩譲って、3大栄養素というのなら、33%33%33%でもいいと思いませんか。おそらくこういうバランスにするだけで糖尿病は激減すると思います。しかしなぜか、バランスを主張する方がいつも言うお勧めは炭水化物60%です。これはおそらく「日本人が食べているものを調べたらそういう割合が多かったからそう決めた」という説が有力です。
・基本的に「糖質しか血糖値を上昇させない」という考えは意外に最近までわかっていませんでした。「タンパク質も脂肪も、若干は血糖を上げる」という言い方がされたこともあります。しかしすでにご紹介しましたように、私たちの実験(16人の健常者と糖尿病者にバターを食べてもらって血糖値を測定した脂肪負荷試験)によれば、脂肪ではまったく血糖値は上昇せず、インスリンも出ず、ケトン体だけが上昇することがわかっています。「炭水化物」というのは血糖値も上げないうえに特に悪さをしない「食物繊維」と血糖値を上げる「糖質」を合わせた食物群です。これらをまとめて栄養成分の主力にすることで、じつは糖質の持つ機能は不明瞭になってしまいます。「食品成分表」の構成からわかるように、日本の栄養指導の中心的な考え方には「糖質をどうするか」という考えが欠落しているのです。これが悪意によるものなのか、馬鹿なだけなのかはわかりません。ただ糖質量がわからないという点と、計算がしにくいという点、わざわざ隣にはおそらく誰も栄養指導に使わない「灰分」を持ってくるあたりにはその弊害を考えると悪意すら感じてしまいます。もはや「知らない」ではすまされません。炭水化物が糖質と食物繊維の和であるのなら、となりに「糖質」と「食物繊維」を持ってくるのが常識でしょう。食物繊維はわざわざ示していながらも遠くに離してしまうということは、糖尿病患者から言えばいじわるとしか思えません。
・江部康二先生たちが発行している「食品別糖質量ハンドブック」(洋泉社)などの有効性と利便性は群を抜いています。この本は食品ごと、日常食べる量ごろに糖質量をわかりやすく表記しているので、この小さな本だけで多くの糖尿病患者が救われることでしょう。女子栄養大学編集の「食品成分表」は「糖質量不明成分表」で糖尿病の栄養指導にはまったく役に立たない本なのです。
・ここまで見てきたような「カロリーを制限すべき」の考え方や「脂肪が糖尿病の原因」説など、間違った主張の根拠となっているのは、コレステロールが巨悪の根源と考える「コレステロール悪玉説」です。これが根強い支持をを得ていて、今でもそれを信じている人が国民の大半を占めていると思います。ところが、ここへきて従来のコレステロール悪玉説が崩れつつあります。コレステロールというのは、体内の主要成分であって、とくに脳は、水分を除けば脂肪が40%を占め、さらにその30%がコレステロールでできています。全身の3分の1のコレステロールが脳に存在しているそうですから、脳にとってどんなに重要な物質かがわかるでしょう(ですからコレステロールを下げる薬を飲むと脳の活動が低下して認知症やうつ病などが引き起こされることもわかってきました)。従来は脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの疾患は「コレステロールが原因」とされていたのですが、最近になってじつは梗塞の現場にコレステロールが見つかっただけで、コレステロールは犯人ではなく、血管損傷の修復係であることが明らかにされてきました。火事の現場で見つかったコレステロールは放火犯ではなくて消防士だったのです。これはケトアシドーシスの犯人にされたケトン体と同じ構造の冤罪事件だったのです。
・アメリカやイギリスなどでも30年以上にわたって総脂肪とバターなど動物性脂肪の多い飽和脂肪酸の摂取量の制限を基本とした食事指導がおこなわれてきました。しかしイギリスの医学雑誌に2015年2月、「食事指導を実行してもしなくても心筋梗塞などによる死亡率は変わらない」とする研究結果が発表されたのです。健康な人と脂質異常症の患者らを対象にした複数の研究を分析した質の高い研究で、血中コレステロールを減らすことを目的におこなった従来の食事指導には根拠がないことを示した画期的な内容でした。近年日本の脂質栄養学会が明らかにしたデータによっても、コレステロールが低いほど死亡率が上がること、日本人に関してはコレステロールが高いといっても、基準が欧米と比べて低すぎること、とくに女性は99%が薬でコレステロールを下げる必要のない水準であることなどがわかってきました。そして2015年4月1日に厚生労働省はコレステロールの食事での摂取制限を撤廃しました。体内のコレステロールは食事で作られる割合が20%で、残りの80%は肝臓で合成されていることは従来からわかっていたことでした。コレステロールをあまり摂取しなければ、体内合成分が増えますし、たくさん摂取すれば、合成分が減るというバランスができているのです。ですから、これを食事でとらないようにすることに意味がないことは何年も前から言われてきたことでしたが、これまでの「コレステロール悪玉説」が、まさにさまざまなしがらみの中で訂正できなくなっていたのでした。2015年2月になった、アメリカ政府の「食生活ガイドライン諮問委員会」が食事でのコレステロールの摂取制限は必要ないと報告したことにより、なぜか急に日本もこれを踏襲して撤廃したのです。
・脳はほとんどが脂肪でありコレステロールの集積所です。脳に必要なコレステロール値を下げてしまうとどうなるのか?順天堂大学奥村康特任教授は、ご本人のブログでこんな怖いことを書いています。「医者に行くと、コレステロール220以上で異常だといってコレステロール降下薬を飲まされる。するとまずいことに鬱になるんですね。非常に多弁だった人が無口になったりする。そういう人が電車に飛び込むんだという話をしたら、実際に帝京大学の精神科の先生とJR東日本が協力して、JR中央線で自殺した人を調べたんです。その結果、9割が55~60歳でほとんどが男だった。それが見事に全員コレステロール降下薬を飲んでいたという」また、こんな気になることも書いています。「コレステロール降下薬の年間売り上げは3千~4千億円ともいわれている。その7割は女性が飲まされている。女性は閉経後に必ずコレステロールが上がるからです。
・コレステロールの研究が進んでくると、1990年ごろから、それまで血管に血栓などを作ると考えられていたコレステロールが、じつは損傷した血管を修復していることがわかり、コレステロールを「善玉」(HDLコレステロール)と「悪玉」(LDLコレステロール)の2種類に分けて評価するようになりまsた。しかし、最近ではこの「善玉」と「悪玉」の区別もおかしいと言われており、LDL(悪玉)が多くても死亡率に変化はなく、逆にLDLが低すぎると死亡率が上がるということもわかっています。東海大学名誉教授の大櫛陽一先生によれば、細胞にコレステロールを運ぶのがLDLで、古くなった細胞からコレステロールを肝臓に戻す役割をしているのがHDLで、その両方が必要だとしています。コレステロールの8割は体内で合成されており、食事の種類を変えても体内のコレステロール量は変化がないことがわかっており、またコレステロールが減るとがんや認知症の発病率が跳ね上がる可能性も示唆され、「コレステロールは悪」から「コレステロールは必須なもの」に変わってきているのです。しかしコレステロール降下薬の売り上げは3000億円ともいわれ、莫大な利益を生む構造があるため「コレステロール悪玉説」の否定は大きく遅れてしまったのでした。
・進化の過程で女性も含めヒトが摂取してきたものは今のような糖質だらけの食べ物ではなく、主に肉や魚介類と低糖質な炭水化物-クルミ(ほとんどが脂質で糖質はきわめて少ない)やクリやどんぐりなどの堅い果実-などを利用してきたと考えられます。女性の体に蓄えられた脂肪は胎児に栄養として与えられてきました。ですから女性のほうが皮下脂肪が多く蓄えられるようになっています。また男性も、皮下脂肪は女性ほどでもありませんが脳は男女とも大きいので、ヒトはほ乳類の中ではダントツに脂肪が多いのです。脳はカロリーを大量に消費する臓器というだけでなく、脳そのものが作られることも大変な臓器です。脳を作るためにはたくさんの脂肪が必要です。ヒトは大きな脳のために、たくさんの脂肪を食べることが必要とされてきて、母胎も胎児の脳や体を元気に育むために、多くの脂肪を必要とし、母乳にも脂肪が多く含まれているのです。
・まず摂取栄養比率は改めなければなりません。また「炭水化物」というあいまいな言葉は使わず、糖質および食物繊維とすべきです。アメリカのジョスリン糖尿病センターの栄養比率の基準(肥満とⅡ型糖尿病の場合)は、「糖質:タンパク質:脂肪」で40:30:30となっています。今の日本の60:20:20よりは、こちらのほうがずいぶんましです。
・さらに私たちの提案では、糖尿病の患者はその重症度によって糖質量を減らすべきだと思います。
重症度・高 糖質:タンパク質:脂肪:10:45:45
重症度・中 糖質:タンパク質:脂肪:20:40:40
重症度・低 糖質:タンパク質:脂肪:30:35:35
本当は糖質は減らせれば減らせるほどよいと思いますが、これぐらいが目安でも大丈夫だと思います。また誰にでも同じカロリー量、カロリー比率を要求するような安易な栄養指導は、なくさなければならないと思います。メタボの人や歯周病の人など、体の状態や食の好みなどはそれぞれみな違うことを前提として多彩な指導が必要です。しかし変わらない根本的なポイントは「糖質量を上げない」食生活です。これにつきます。
・ほ乳類以外の動物は、多くは卵生で子孫を残します。すなわちほとんどの魚類、両生類、は虫類、すべての鳥類、単孔類、ほとんどの昆虫やクモ綱の繁殖方法が卵生です。この卵の中には、炭水化物は(ましてや糖質も)ほとんどなく、タンパク質と脂肪で構成されています。そしてそえぞれの種は、完全栄養の卵の栄養で生育して、仔になっていきます。鳥類で見ると、雛になるまで卵にはまったくほかの栄養はありません。それではヒトの胎児はなにを栄養源んい生きているのか?従来はブドウ糖だと言われてきまsた。ですが胎盤にも臍帯血にもさほどのブドウ糖は含まれていない。ところがケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)は、成人の20~30倍も大量に存在します。これは脂肪をエネルギー源としている証拠です。そうすると次のような疑問がふたたび湧いてきます。胎児に糖質は必要ないのではないだろうか?必要だとしても、赤血球が有核から無核になっていく成熟期以降に赤血球の栄養の分だけあればいいのではないだろうか・・・?
・食べてよい食品→要注意食品
肉類:牛・豚・鶏・羊・加工品→味付け缶詰
魚介類:魚・貝・甲殻類など→練り製品、佃煮など
乳製品:チーズ・バターなど→牛乳・ヨーグルトなど
卵:注意食品なし
豆類:大豆(ゆで)・大豆製品→きな粉・小豆など
野菜類:葉物など→かぼちゃ、にんじんなど
種実類:クルミ・ごまなど→栗・アーモンドなど
キノコ類:注意食品なし
藻類:のり・わかめなど→佃煮類
調味料:醤油・味噌・塩・酢など→ソース・ケチャップなど
油脂類:こんにゃく→注意食品なし
嗜好飲料:焼酎・コーヒーなど→清酒・ビールなど
穀類・いも類:こんにゃく→米・小麦・いも類など
果実類:アボカド→果実全般・ジュースなど
菓子類:-→糖の入った菓子類
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