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「子どもの見ている世界ー誕生から6歳までの「子育て・親育ち」」(内田伸子)という本はとてもオススメ!

「子どもの見ている世界ー誕生から6歳までの「子育て・親育ち」」の購入はコチラ

 「子どもの見ている世界」という本は、子どもの成長を軸に子どもの目から見た世界を理解でき、子どもに寄り添い、より賢く育てる子育てのヒントとなる良書です♪

例えば以下について書かれています♪

 特に、絵本の読み聞かせも十分に行い、子どもといっしょに遊び、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませ、子どもの進歩を認めて褒め・励ませ・視野を広げさせ、他の子とは比べず、子どもの質問にはすぐ答えるのではなく自分なりの答えを考えさせ、親子で楽しい経験を共有する「共有型しつけ」が大切ですね♪

・赤ちゃんが泣いている時は「よしよし、いい子ね」とやさしくからだをなでながら、やさしいことばをかけると良い。

・実は泣くという「ことば」と「運動」を通してこどもがは大きく成長していると考えること

・赤ちゃんは生まれて3ヶ月頃までに「喜び」「悲しみ」が生まれ、「怒り」は4~6ヶ月ごろに発達し、「驚き」は6ヶ月ごろから見られ、6~8ヶ月になると「恐れ」の気持ちも出てくる

・赤ちゃんはハイハイやつかまり立ちができるようになると、体だけの発達でなく、認知という脳の発達にも影響を与える

・歩けるようになると口や喉、鼻の構造を変え発語器官ができあがる

・子どもは大きく友だちと関わるのが上手な「物語型」と友だちよりおもちゃなどの「もの」に興味がある「図鑑型」に分かれ、どちらがいい悪いというわけではなく個性である

・折りにふれてがまんさせることは、子どもを強く成長させる

・年齢によってできること・できないことがあるので、あまり多くのことを求めないようにすること

・3歳~のひとりごとは心配不要で、ひとりごとを言いながら自分の想像世界に集中しているときは、無理に入り込まなくて待つこと。それは心の中でどんどん言葉が育っている。

・子どもが失敗したときは、「残念だったね」と受け止めてあげ、前より進歩した時こそ3Hの「ほめる」「はげます」「(視野を)ひろげる」をかけてあげることが大切

・小学校の高学年くらいに、良い本や将来の目標となるような人に出会うことが、人生を自分らしく、充実して生きられるかどうかの鍵を握る

・英語などの早期教育のDVDは言語発達や認知発達が遅れ、子どもの脳の萎縮まで起こすことが発表され、それらDVDは回収され購入代金が返金された

・私たちが生きていく上で重要なのは暗記能力ではなく想像力である

・5歳頃から質問期に入るがすぐに答えるのではなく、「どうしてだろうね?」と子どもに質問を返して一緒に考えることが大切

・母語の読み書き能力をしっかり身につけ、一対多のコミュニケーションスタイル移行した段階(7~9歳児)で外国に移住した子どもがもっとも容易にもっとも短期間(平均3年)で現地の母国話者なみに読書力や読み書き能力の偏差値に追いついた。(第二言語は母国語が土台になるので、早く英語教育をすれば良いという訳ではない)

・平均的な知能の5歳児は、1日に20語もことばを覚えるので、そのような環境作りが大切

・小学校教育を先取りして文字を教えたり計算をやらせたり、英会話や体操の時間を設けている幼稚園や保育園に比べて、子どもの自発的な遊びを大事にしている自由保育の幼稚園や保育園の方が語彙得点は高い

・幼児期に絵本の読み聞かせをたくさんしてもらったり、ブロック遊びが好きで造形・工作や絵を描く、指先をよく使う子どもが学力テストの結果が良い

・幼児期に共有型しつけを受けた子どもは、強制型しつけを受けた子どもより成績が良い

・受験偏差値68以上の難関大学・学部を卒業して難関試験(司法試験や国家公民試験、調査官試験、医師国家試験など)を突破した子どもを持つ親は、就学前の幼児期に、子どもといっしょに遊び、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませ、絵本の読み聞かせも十分に行っていた。子どもとのふれあいを大切にし、親子で楽しい経験を共有する「共有型しつけ」をした親が多かった

「子どもの見ている世界ー誕生から6歳までの「子育て・親育ち」」という本は、子育てに悩む親や、子どもを賢く育てたい親等にとてもヒントとなり、とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です♪

・赤ちゃんが不安で泣いていることも多いものです。不安を感じている場合に有効なのは、やはりお母さんの存在です。生まれる前からおなかの中でお母さんの声を聞いているので、お母さんの声を聞くと安心できます。「よしよし、いい子ね」とやさしくからだをなでながら、やさしいことばをかけてあげるとよいでしょう。お母さんの姿を見て、お母さんの声であやしてもらうと赤ちゃんは満足し、やがて眠りにつくでしょう。決して「もう、なんで泣くの?静かにして!」などと声を荒げないでください。親のイライラが赤ちゃんに伝わると、赤ちゃんは緊張してますます泣いてしまうでしょう。もうひとつ、泣くというのは、赤ちゃんにとって「運動」でもあるととらえてみてください。一日中泣き続けられる赤ちゃんはいません。やがて眠りにつきます。寝てほしい、静かにしてほしい、自分も休みたい・・・という親側の事情に反して夜泣きが続くと、寝不足や疲れも重なるので、物事をネガティブにとらえてしまいがちです。でも、泣くという「ことば」と「運動」を通してわが子が大きく成長しようとしている姿だと考えてみたら、少しは気持ちも楽になるのではないでしょうか。
・この頃の赤ちゃんは、ことばを、高い低いなどのピッチや全体のメロディーで聞いているようです。”よしよし”などのあやしことばは高いピッチでメロディーがあるために安心できる音としてとらえますが、”だめ”などの叱りことばはピッチが低く、メロディーもないために不安な音として響きます。そうして脳が発達するにつれて、音はしだいに「ことば」として捉えるようになっていきます。次第に「エントレインメント」といって母親の言葉のリズムに合わせて手足を動かすようになりますが、これはお母さんの母性を刺激することにもなります。子どもは生まれつき、お母さんの母性をくすぐる行動を知っているのです。

・ママが「いないいないばあ」と赤ちゃんをあやすと、赤ちゃんも口の中をもぞもぞさせて、ゆっくりと自分の舌を出そうとします。ママの口の動きや舌出しをまねしてからだを動かすのです。このまねは反射の一種で、「共鳴動作」と呼ばれます。これは、生後5ヶ月過ぎになってからの「まねしよう」という意志をもった模倣行動とは違うものです。生まれたばかりのときは、意識して舌出しをするわけではなく、ママの口の動きと舌出しの動きがうつって、思わず同じ動作をしてしまうのです。そして、赤ちゃんがママと同じように舌出しをすると、ママは喜んで一生懸命話しかけたりあやしたりします。これに伴い、ママの体の中では授乳ホルモンのプロラクチンがどんどん分泌され、赤ちゃんにおっぱいを飲ませる準備ができます。つまり、赤ちゃんが反射的にママと同じ表情や動作をすることで、ママの母性が刺激され、授乳の準備が始まるのです。赤ちゃんは、他人を理解し同調し、他人と心を通わせる仕組みをもって生まれてきます。人間以外のほ乳動物、たとえば馬や牛、イルカやクジラなどは、誕生直後から母親のお乳のありかを探してお乳を飲むことができますが、人間の赤ちゃんは自分では動けません。ママに世話してもらわないとお乳を飲むことができないのです。共鳴動作は、ママの授乳行動や世話をしたくなるような気分を誘う合図として役立って居るのです。親子の目の交わし合いや表情の共鳴は、コミュニケーションの始まりをを告げる行動です。

・生後2,3ヶ月頃から、呼吸に合わせて偶然、声が出るようになります。「クーイング」(吸管音)と呼ばれ、「クークー」「キュッ」などの音に聞こえます。この頃になると、まわりのものの動きや変化に合わせて声が出たり、キック動作が起こります。動きに誘発されて赤ちゃんは全身運動を始めるのです。ベビーベッドに寝かされている赤ちゃんは、目が覚めているときは次の発達のステップに備えるかのように全身運動を行い、やがて、抱き上げた時に首がしっかりとして頭を支えることができるようになるのです。

・発達心理学の氏家達夫さんによると、まず3ヶ月頃までに「喜び」が発達します。3ヶ月よりも前にも笑ったりすることがありますが、これは生理的微笑といって単なる反応にすぎません。3ヶ月を境にして、まわりからの働きかけに反応して喜ぶことができるようになります。「悲しみ」も、3ヶ月頃までに生まれます。「怒り」は4~6ヶ月頃に発達し、「驚き」は6ヶ月頃から見られるようになります。6~8ヶ月になると、「恐れ」の気持ちも出てきます。このように、赤ちゃんの喜怒哀楽などの管状は、生まれながらにして完成しているのではなく、段階を経て発達していくものなのです。

・赤ちゃんのハイハイやつかまり立ちができるようになるなどの運動面の発達は、体だけの発達でなく、認知という脳の発達にも影響を与えているのです。ハイハイが始まったら、赤ちゃんがどこでも移動できるように、床はきれいに片付けておきましょう。何でも口に入れてしまうので、危ないものは手の届かないところにしまいましょう。赤ちゃんが移動する空間には、ウレタン製のラグタイルを敷くのも良いかもしれません。空間の形に合わせて敷き詰めることができます。汚れたら濡れた布巾でふき取り、除菌クリーナーで清潔を保つこともできます。また、赤ちゃんがハイハイしたときすべりにくいので好都合です。

・二足歩行によって移動能力が飛躍的に伸びますが、このとき、体の中でもとても大事な変化が起こっているのです。立ち上がり始めると、上あごが持ち上がり、下あごが下がって、舌を動かす空間が大きくなります。また、離乳食を食べ始めることで、舌の筋肉が発達して舌を自由に動かせるようになります。声帯の位置も下がり、舌で呼気をかきまぜ、唇を開閉させると声が出てきます。こうして二足歩行が始まると、おっぱいを飲んでいたときとは口の形が変わっていき、発語器官ができあがっていくのです。声帯の位置は、赤ちゃんのときを0とすると、1歳を過ぎるとそれが1にまで下がります。すると、声がよく響くようになり、変化に富んだ、色々な音を作り出せるようになるのです。この時期、子どもは繰り返し繰り返し声を出してみます。そのうちに、ニャンニャン、ワンワンなどのことばがはっきり話せるようになっていきます。こうして歩き始めから発語器官ができあがるに連れて、子どもはいろいろなことばを話すようになります。歩けるようになると、あちこち自由に行けるようになるばかりではなく、口や喉、鼻の構造を変え発語器官ができあがることになるのです。こうしてアンヨとともに、子どもはことばを手に入れるのです。

・赤ちゃんが環境に慣れた頃を見計らって、赤ちゃんが見たこともない犬型ロボットのアイボを赤ちゃんの前に置きました。すると、どの赤ちゃんもびっくりして、慌ててお母さんのそばにハイハイで近寄りました。その語の赤ちゃんの反応は2つに分かれました。一つは、「お母さん、これ何?」という表情をしてそばにいるお母さんの顔を不安げに見上げました。この「問い合わせ」タイプの子どもは80人中48人いました。残りの32人は、アイボに釘付けになっていました。このような赤ちゃんは「面白そう!」という好奇心いっぱいの表情をしていました。母親に問い合わせた48人は、おままごとが好きで物語絵本を好むことがわかりました。一方、母親に問い合わせなかった子どもは、乗り物のおもちゃやブロック遊びが好きで、図鑑や科学絵本を好むことが確認されました。そこで私は、お母さんに問い合わせをした子どもを「物語型」、アイボに興味を引かれてじっと見つめた子どもを「図鑑型」と呼んでいます。物語型は人間関係に敏感で、「おはよう」「こんにちは」などの挨拶や「きれいね」「おいしいね」など感情を表現する言葉から覚えていきます。図鑑型は物の名前をたくさん覚えるのが得意です。物や物の成り立ちや動きに興味があるので、「おっこちた」「なくなっちゃった」、救急車を見ながら「ピーポ・ピーポって言ってる」など、動詞もよく覚えます。どちらがいい悪いという話ではなく、子どもにはそれぞれの個性があるということなのです。

・図鑑型の子どもは、友だちよりもおもちゃなどの「もの」に興味があり、友だちとの関わりが苦手なタイプです。一方、物語型の子どもは友だちと関わるのが上手なタイプで、すぐに友だちができます。親としては、後者の方であってほしいと思うかもしれません。ですが、なかなか友だちに関われない図鑑型の子どもに対して「ほら、みんな遊んでいるよ」と手を引っ張って仲間に入れようとすれば、子どもは嫌がって泣き出すでしょう。無理強いすると、子どもはますますほかの子どもに関わろうとしなくなってしまいます。図鑑型の子どもは繊細で内気な傾向があるので、外ではなかなか自分の気持ちを伝えられないかもしれません。そういうときは、お母さんが上手にサポートしてあげましょう。最初はみんなと離れて砂遊びをしていたり、一人でおもちゃで遊んでいても、そのまま見守っていましょう。友だちが興味をもって近寄ってきたときに、「いっしょに遊ぼうね」と声をかけてあげると、一緒に遊び始めるかもしれません。もし、ほかの子どもの遊んでいる様子をじっと見つめていたら、「あのスコップいいね」と子どもの気持ちを汲み、お母さんがみんなの輪の中に入って「それ貸してもらっていい?」と声をかけるなど、お手本を見せてあげるといいでしょう。スコップやバケツなどおもちゃを用意していって、そのおもちゃを介して遊ぶきっかけをつくるのもひとつの方法です。徐々に友だちがいる環境に慣れてきたら、子どもは家にいるときと同じように振る舞えるようになるでしょう。大人でも、大勢の友人とにぎやかに食事をするのが好きな人もいれば、一人で読書をするのが好きな人もいます。自分なりの人との付き合い方は自然と身につけていくものではないでしょうか。また大人になるに連れ、図鑑型と物語型の区別はハッキリとはしなくなります。色々な人と関わる中で、自分の気持ちをコントロールすることができるようになるのです。やがてバランス良く両方を兼ね備えるようになるので、図鑑型の人でも上手に人の輪に溶け込めるようになるでしょう。子どもの頃は大人しくても、大人になると活発で活動的になる人も大勢います。小さいうちは友だちと遊ぶのを嫌がっても焦らず、お母さんは子どもの上手なサポーターになりましょう。

・子育てには何事も準備が必要です。おもちゃ屋さんに連れていったら、子どもは何か買ってもらえるかもと期待しておかしくありません。お腹が空いている状態でスーパーに行って美味しそうなものを目にしたら、食べたくなるのが自然な成り行きです。こういう場合、出かける前に「おもちゃのあるお店に行くけど、今日は何も買わないからね」と言い聞かせたり、外出前に何かを食べてから出発するというのは手です。あるいは「買うのはひとつだけだからね」と前もって伝えてそれを守ることで、子どもも親の姿から学んでいきます。そういった準備が足りず、子どもがダダをこねてどうにもなくなってしまったら?子どもを抱き寄せ、ゆっくり呼吸をすると、パパやママの気持ちも静まり、子どももだんだん落ち着いてきます。それから、やさしく「帰ったらおうちにあるおもちゃでいっしょに遊ぼうか」などとなだめてあげましょう。感情的に「ダメって言ってるでしょ!」と怒るのはまったくの逆効果です。折りにふれてがまんさせることは、子どもを強く成長させます。待つことを覚えることが、がまんにつながるのです。そうはいっても、すぐにはうまくいかないでしょう。その時々で根気よく働きかけていくことが大切です。もし、前回よりも長く待てたら、「待っててくれて、ママ助かったな」とほめてあげること。これを3回繰り返すと、子どもは待てるようになります。ちょっとでも進歩したら見つけて褒めるというのがポイントです。

・子どももコップを割ることは「いけないこと」と自覚しており、それでも失敗をしてしまったのですから、こういうときはまず「大丈夫だった?ケガしなかった?」と子どもの身を心配してあげましょう。その後で落ち着いて話すようにすれば、子どもも素直に話を聞くはずです。理由を聞かれて「ジュースが飲みたかったから」などと自分のしたことの理由を考えて話せるようになるのは5歳半ぐらいからです。2歳ぐらいから「だって・・・だもん」と理由を説明するような話し方をしますが、これは自己主張しているだけで理由を考えて説明しているわけではありません。3歳や4歳の子どもに「どうして~したの」と理由を問いただしたとき、黙って何も答えられなくても不思議ではないのです。5歳になると物事の整理ができ、ルールがわかってくるので、理由を考える力がついてきます。「大丈夫だと思ったの。でも手がすべって割っちゃった」という具合に。失敗したときに子どもに考えさせるのは確かに大切です。けれども、理由を考えられない時期に無理に考えさせようとすると、子どもにはプレッシャーになり萎縮してしまいます。年齢によってできること・できないことがあるので、あまり多くのことを求めないようにしましょう。

・ひとりごとは、3歳頃から現れ、4歳頃から多くなります。親御さんの中には「何か病気なの?」と悩んでしまう人もいるようですがその心配はいりません。一人で遊んでいる時に「これはこっちに置いて、これはどこにしよう」とおもちゃの配置を替えたり、クレヨンで絵を描いているときに「赤がないなあ、じゃあ、黄色を使おう」と言ったりするのは、声を出した方がうまく考えをまとめられるからです。子どもは独り言を言うことで自分自身に質問し、答えています。やがて言葉を発しなくても心の中で自問自答できるようになります。独り言は、心の中で言葉を使って思考するようになるまでのプロセスの一つなのです。もしこの内なることばが育たなければ、子どもは何かを想像することも、記憶することもできないでしょう。文字を書くようになっても、最初のうちは「ここをまっすぐ」という具合に声を出しながらでないと書けない子どももいます。また、「あ」と言ってから”あ”を書くというように、一字ずつ声に出して唱えながら文字を書くこともあります。ことばが手の動きを助けているのですね。独り言は3歳以降に集団生活をするようになるとさらに増え、7、8歳になると急速に減っていきます。独り言を言いながら、自分の想像世界に集中しているときは、無理に入り込まずにそのままにしておきましょう。この時、心の中でどんどん言葉が育っているはずです。

・子育てで何より大切なのは、「待つ」ことです。急がず慌てず、子どもの育ちの自然なプロセスを見守り、待ってあげることが大事ではないかと思います。子どもが失敗したときは、「残念だったね」と受け止めてあげてください。前より進歩したときこそ、3Hの言葉「ほめる」「励ます」「視野を広げる」をかけてあげてください。大好きなお母さんに褒められ、認められると、子どもはとても嬉しいものです。頑張った自分に誇りを持ち、自信がつきます。そこから「もっと頑張ろう」「挑戦してみよう」という有機がわいてくるのです。

・小学校の高学年くらいに、良い本や将来の目標となるような人に出会うことが、人生を自分らしく、充実して生きられるかどうかの鍵を握ることになります。親離れの時期も間近に迫ってくることです。ですから、小学校高学年になったら、親子とはいえお子さんとは「友だち」のような関係で、お子さんの意志や考えを尊重して頂きたいと思います。

・言語発達や認知発達がどんどん遅れてしまった子どもたちは、生後6ヶ月から1歳6ヶ月までの12ヶ月間、1日に1時間以上も早期教育のDVDを見せられていたのです。3歳以降に遅れを取り戻した子ども達は、同じ早期教育のDVDを平均30分以内の範囲で見せられていたということがわかりました。この子達は、音と光の強烈な演出のDVDがかかると嫌がって泣き出したり、顔をそむけたりしていました。また3歳頃には、自分でビデオ装置を操作してDVDを止めたり、別室に逃げ出して難を逃れたことがわかりました。言語発達や認知発達が順調に進んでいる子どもたちは、このようなDVDは見せられたことがないことがわかりました。彼らは遊びが大好きで、テレビなどまったく見ないか、見たとしても10分以内の子どもたちでした。研究者たちが言語発達や認知発達が遅れてしまった子ども達の脳活動を調べたところ、言葉を理解する大脳の言語野「ウェルニッケ野」が萎縮してしまっていることが確認されました。親が良かれと思って与えた早期教育のDVDは、子どもの脳の萎縮まで起こしてしまったのです。とんでもないことですね。この調査結果が発表されたことで、この早期教育のDVDを販売している会社は親たちからDVDをすべて回収し、購入代金を返金しました。ところが残念なことに、日本ではこの早期教育のDVDが最近まで販売され続けていました。英語を早くしゃべれるようになるのではないかと勘違いした親たちは祖父母が誕生祝いなどにプレゼントしているのです。このDVDにさらされた子どもたちは、知能や言語の発達が遅れてしまうことになるでしょう。ひどい場合には、脳萎縮も引き起こしてしまうかもしれないのです。

・思考活動は、収束的思考と拡散的思考の2つのタイプに分かれます。収束的思考は暗記能力、拡散的思考は想像力です。どちらの思考も知識や経験が材料になります。収束的思考は既有知識や経験を加工せずに取り出す日常語で「暗記能力」のことです。試験問題を前にして覚えたことをそのまま使って答え、知識を再現することが求められるのが暗記能力です。一方、知識や経験をもとにして類推を働かせたり、因果推論を働かせることにより、映像的なイメージや言語的なイメージを作り出す力が拡散的思考、つまり想像力なのです。私たちが生きていく上で必要なのは、むしろ想像力の方です。私たちが人生のいろいろな時期に出会う課題で、答えが決まっているものはほとんどありません。課題に直面すると、その時々、より良い答えを見つけようとしていろいろ考え、想像を巡らせて答えを出そうとします。すると、経験や知識がたくさんあればあるほど、より良い解決ができるはずですよね。

・5歳頃から、子どもは「WHY(なぜ)質問期」に入ります。「どうして?」「なぜ?」という質問をすることが多くなりますよね。このとき親や保育者は答えを与えてしまいがちです。しかしすぐに答えを与えるのはちょっとお待ち下さい。お子さんが「どうしてお風呂に入ると軽くなるの?」とか「なぜお鼻はにおいをかげるの?」という「WHY(なぜ)質問」をするようになったら、親や幼稚園や保育園の先生方は、答えや解説を先回りして与えてしまわずに、「どうしてだろうね?」「なぜかしらね?」と子どもに質問を返して、一緒に考えてみてください。すると、子ども自身が「対案」を出してきます。「だってさ、お風呂ってあったかいじゃない?だから下から手を持ち上げているんじゃない?」などと考え出すのです。この対案を聞いたら、「ああ、そうかもしれないね。よく考えたね」とほめてあげてください。このような会話を繰り返すうちに、子どもの考える力が自然に育っていきます。子どもに代わって大人が答えてしまったら子どもの思考力は育ちません。子どもにかわって大人が想像してしまったら、子どもの想像力は育たないでしょう。大人の親切は、子どもにとっては「迷惑」なことにもなりかねません。ですから大人は、子ども自身に理由や論拠を考えさせるようなチャンスを与えてあげてほしいと思います。大人の「賢い」(先を見通した)援助を得て、子どもは考えたり想像したり、判断する力を育んでいくのです。

・発音や聞き取りは、後から学習することができるのです。小学校高学年になってから、あるいは中学生になってからでも、外国語の発音にふれ、発音の仕方を学んで何度も練習すれば母語話者並みの発音ができるようになります。話す内容こそが重要であり、九官鳥のように母語話者並みの発音ができるか否かは、コミュニケーションにとってあまり重要ではありません。

・カミンズと中島和子さんは、母語の読み書き能力をしっかり身につけて、1対多のコミュニケーションスタイルに移行した段階(7~9歳児)でカナダに移住した子どもが、もっとも容易に、しかも最も短期間(平均3年)で、現地の母語話者並みの読書力や読み書き能力の偏差値に追いついてしまうことを見出しています。一方、3~6歳でカナダに移住した子どもたちの学力言語の習得はもっとも難しく、11年以上もかかるのです。この結果は「二言語相互依存説」を支持しています。また「子どもは大人に比べてことばを覚えるのが早い」という素朴信念が誤りであることを証明しているのです。

・どの子も言葉をたくさん「知りたい」「覚えたい」大好きなママに「話したい」と思っています。子どもは「ことば」にとても敏感です。子どもは聞いていないように見えても、全身を耳にして、まわりのおしゃべりに耳を澄ませているのです。平均的な知能の5歳児は、1日に20語も言葉を覚えます。親は20語も新しい言葉を子どもに話すでしょうか?子どもはことばに敏感で、家族の会話、テレビのアニメの登場人物のセリフ、ニュース、幼稚園や保育園の先生同士の会話など、身の回りにあふれている言葉から、自分の関心に少しでも関連があるなら、どんどん言葉を吸い込んでいきます。そして似たような状況に置かれた時に吸収した言葉が蘇り、自分でも「使って」みるのです。子ども達はみな言葉に敏感です。言葉をどんどん覚えたいと思っているのです。ですから、大人たちは、てっちゃんのように耳をそばだてている子どもがいることを忘れず、美しい日本語で会話したいものですね。言葉は、子どもの未来を拓くものだからです。

・小学校の教育を先取りして、文字を教えたり、計算をやらせたり、英会話や体操の時間を設けている幼稚園や保育園に比べて、子どもの自発的な遊びを大事にしている自由保育の幼稚園や保育園の方が語彙得点は高いのです。しかも、年長になるほど、差は広がっていきます。

・幼児期に絵本の読み聞かせをたくさんしてもらって語彙が豊かな子どもは学力テストの成績が高かったのです。またブロック遊びが好きだったり、造形・工作などをよくしていた-段ボールや紙を使って工作したり、絵を描いたり砂だんごを作ったりなど、指先をよく使っていた-手先の器用な子どもも、PISA調査の成績が高かったのです。同じ子どもたちを追跡していますので、これもまた単に相関があるということではなく、因果関係があるということなのです。つまり幼児期の生活や遊びが学力テストの成績に影響を与えているのです。幼児期の語彙能力と指先の器用さは、小学校の国語学力を高めることが明らかになりました。

・幼児期に共有型しつけを受けた子どもは小学校で受けたPISA型テストの成績が高くなりますが、強制型しつけを受けた子どもは成績が低くなるということが明らかになったのです。

・共有型しつけをしている親は「洗練コード」と呼ばれる話し方をしていることがわかりました。一方強制型しつけをしている親は「制限コード」と呼ばれる話し方になります。たとえば、パズルを解いている途中で電話がかかってきた場合を考えてみましょう。共有型しつけの親は「あ、電話がかかってきた。ごめんね。ちょっと待っててね」と子どもに頼み、手短に電話を終えて「お待ちどおさま。待っててくれてありがとうね。続きを読もうね」と言って、子どもをひざに乗せ、語りかけるように抑揚をつけて読み上げます。それに対して、強制型しつけの親は、このような場面で、「静かにして!」とだけ命令し自分が電話で話すのを優先します。電話の相手と好きなだけおしゃべりした後、絵本を自分の正面に置き、一本調子で読み上げます。子どもが脇から絵本のページをのぞきこむような読み聞かせ方でした。共有型しつけの母親達は、子ども自身に考える時間を与え、共感的で援助的なサポートをしていました。子どもに敏感で子どもに合わせて柔軟に言葉かけを調整しています。特に「3Hの言葉かけ」、すなわち「ほめる」「励ます」「視野を広げる」言葉かけ(愛情深い情緒的サポート)がとても多いのです。母親の態度と呼応するように、子どもは伸び伸びと楽しそうに遊んでいました。主体的に検索したり、自分でどんどん考え、工夫する姿が見られました。普段から強制型しつけをしている母親は、この観察場面でも、子どもに考える余地を与えず、指示的・トップダウン的な介入をしばしば行っていることがわかりました。「ほら、左右同じ色の積み木を並べて」と命令したり、「左右同じ色じゃないと、綺麗じゃないわよ」と自分の価値観を押しつけます。我が子に「正解」を出させたくて、「線対称に並べてごらん。違う、線対称になるようにって言っているでしょ?だめじゃない、ママの言ってること、ちゃんと聞かなくちゃ」と自分の思いを4歳の息子に命令口調でぶつけている親も、普段から強制型しつけをしているお母さんでした。絵本の最後のページでの母親の言葉かけの違いを示しましょう。共有型しつけの親は、子どもが何か話すまで待っています。子どもが最後の場面で、「え?きつねさん死んじゃったの?」「どうして死んじゃったの?」「かわいそうになあ、あんなにしんせつだったのに」などと悲しそうな声で言うと、共有型しつけの母親は、「そうね。かわいそうにね。どうして死んじゃったんだろうね」と子どもをなぐさめるように共感的な言葉を返します。強制型しつけの母親は、絵本の読み聞かせをした後、絵本をパタンと閉じると、まるでテストをするかのように「今のお話しを思い出して、ママに話して」と言ったり、子どもがつっかえると、「ちゃんと聞いていなかったのね。そんなんじゃだめ。「お話の記憶」、テストに出るわよ」などと非難するのです。ほめあり励ましたりといったことはなく、禁止や命令、強制的な指示の言葉かけや、「ママが言った通りにすれば良かったのに。ママの言うこと聞かないからできないじゃない」などといった「勝ち負け」の言葉かけがとても多いのです。このような母親の態度に呼応するように、子どもはおどおどと、母親の指示を待ち、顔色を見ながら、しかも叱られやしないかと緊張している姿が見られたのです。ビデオを一緒に分析していた大学院生と私は顔を見合わせ、「かわいそうにね。また叱られた。これじゃあちっとも楽しくないよね」と話しました。

・受験偏差値68以上の難関大学・学部を卒業して難関試験(司法試験や国家公務員試験、調査官試験、医師国家試験など)を突破したお子さんを持つ親は、就学前の幼児期に、「子どもといっしょに遊び、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませた」と答えました。また絵本の読み聞かせも十分に行っていたことも明らかになりました。また、どんな風に親は子どもにセッしていたかをたずねると、子どもとのふれあいを大切にし、親子で楽しい経験を共有する「共有型しつけ」をした親が多かったのです。

・ではどうして乳幼児期のしつけが、大人になるまで影響を与えたのでしょうか。親が子どもの自発性・内発性を大事にしていて、子どもが熱中して遊ぶのを認め、「面白そうだね」と共感してくれるということは、子どもにとって、何よりの安心になります。大好きな親に褒められると嬉しいし、達成感も倍加します。小さな成功経験を重ねながら自信もわいてきます。難題をつきつけられても、「きっと自分は解決できる」という気持ちになり、挑戦力もわいてきます。こうして大人になるまで、自分で目標にしたことを自力で達成する経験を積み重ねた結果が、難関試験を突破する力に育っていったのでしょう。

・幼児期の語彙能力と手先の器用さは、小学校の国語学力に影響すること、さらに共有型しつけスタイルは語彙得点や国語学力の成績に因果的に影響していることがはっきりしました。夫の学歴や家庭の収入は、母親ひとりの力ではどうにもなりませんが、しつけスタイルは自分でコントロールすることができます。どのような保育を実践している園かも親が選ぶことができます。ですから、教育社会学者が主張した「学力格差や経済格差を反映している」というのは、見かけの関連(相関関係)です。経済格差が真の原因ではないのです。高所得層の家庭では、団らんの時間が多く、文化資源が豊かで、蔵書数も多いのです。親子で旅行に出かけたり、美術館や博物館に出かけるなど、子どもの体験を豊かにする機会も多くなっています。そういった家庭では、親は子どもの主体性を大事にし、子どもを人格を持った存在として敬意を払い、子どもの主体性を尊重する「共有型しつけ」になることも多いのでしょう。先述の調査でも、何よりも「子どもが好きそうなことを考えた」「子どもと会話するのが楽しかった」と答える人が多数いました。この親たちは子どもがやることを面白がって見ていました。自由記述欄には「子育ては楽しい」「子どもと一緒にいるのは幸せだ」などとあり、子育てを楽しんだという特徴が見られました。

・2016年8月26日、2020年からの教育指導要領の改訂の基本方針が発表されました。日本はこれまで暗記能力を育てる教育に取り組んできましたが、学びの質を改善するために、「何を学ぶか」から「どのように学ぶか」に力点が置かれる子ども達が主体的・能動的に授業に酸化できるように「アクティブ・ラーニング」が目玉になるのです(その後、「アクティブ
・ラーニング」は「主体的で対話的な深い学び」と言い換えられるようになりました)。アクティブ・ラーニングでは教師が一方的に授業をするのではなく、児童や生徒との対話型の授業へと切り換えていくことになります。この発表は、自由保育(子ども中心の保育)を実践している幼稚園や保育園にとって自分たちの保育実践を保証してくれるものとなりました。自由保育実践園では、以前から子どもの自由な発想を大事に、子どもが困ったときに保育者が援助するという形での「アクティブ・ラーニング」(自発的・主体的な学び、すなわち「楽習」)に取り組んできたからです。

・最後に、お母さんやお父さん、幼稚園や保育園の先生方など、子どもに関わってくださる大人たちに提案させて頂きたいと思います。
第1に、子どもに寄り添い、可愛がり、子どもの「安全基地」になること。子どもとの間に信頼関係をしっかり作り上げることが大事です。
第2に、その子自信の進歩を認め、褒めること。他の子と比べないでください。5歳後半過ぎになると、どの子も人目を気にしたり人と比べたりするようになるものです。親まで比べる目で見てしまうと、子どもは情けなくなってしまいます。大抵は、親は自分より「できる子ども」や「発達の進んだ子ども」と比べることが多いからです。親はその子自身の進歩を認め、褒めてあげてほしいと思います。常に「3つのH」-褒める、励ます、(視野を)広げる-の言葉をかけて頂きたいと思います。
第3に、生き字引のように余すところなく定義や回答を与えないこと。子どもが考える間が待てず、親が先回りして答えや解説をしてしまうと、子どもは答えは与えてもらうものだと思うようになります。自分で考えようとしなくなるのです。
第4に、裁判官のように判決を下さないこと。禁止や命令ではなく提案の形で伝えてほしい。「何々したら」という提案であれば、「ぼく、したくないよ」と、子ども自身で選択する余地があります。このように、子ども自身が主体的に判断して選べるような余地のある言葉をかけて頂きたいと思います。
第5に、子ども自身が考え、判断する余地を残すこと。このような働きかけ、つまり大人が子どもの主体性を大事にした関わり方をすることによって、子ども自身、自分で考えるという自立的思考力や創造的想像力が育つのです。

・親は、子どもが疑問を感じたとき、すぐに回答や解説を与えないで頂きたいと思います。子どもがどんなところに躓いているのか、どこに疑問を感じて先に進めないのかをよく洞察してください。お子さんが迷っている点が見つかれば、足場をかけて、お子さんが一歩踏み出せるようにしてあげて欲しいのです。親は子どもが自分で答えを見つけるまで、焦らずに、じっくり「待ち」、子どもの心の声をしっかり「聴いて」あげてください。そうすれば、子どものつまづきを見抜く「洞察力」が養われます。そして、子どもの考えが進むための「足場」をかけてあげることができるのです。子どもの質問にすぐに回答を与えず、上手に足場をかけられたときには、4,5歳の幼児でも、まるで科学者がたどるような仮説検証の過程を自力で達成できるのです。

・子どもと過ごせる時間はとても短いものです。子どもは思春期になれば親離れしていきます。子育て中のお父さんお母さん、どうか、お子さんと過ごせる今の時間を大切に。どうか、わが子の心の声を聴いてあげてください。待つ、見極める、急がず、急がせないで。子どもと過ごせる今の時間を大切に、子どもの成長の姿を愛おしみながら、子育てを楽しんでください。

良かった本まとめ(2018年上半期)

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