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「フィンランド流社長も社員も6時に帰る仕事術(田中健彦)」という本はとてもオススメ!

<金曜は本の紹介>

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「フィンランド流社長も社員も6時に帰る仕事術」という本は、フィンランドを始め、米・英・独に合計10年駐在し、日本企業の体質とグローバルスタンダードの双方を実体験から深く知る著者による、新しい仕事のしかたの提言です。

 特に以下のフィンランド流仕事術や生活、教育、文化、歴史等について分かりやすく詳しく書いてあります。

 ・6時に帰る理由
 ・会議やホウレンソウの時間を減らす
 ・ITの活用
 ・現場を知る
 ・部下を信用し干渉しない
 ・良い質問
 ・スマイルが意外な効率
 ・議論をオープンマインド
 ・目標設定と査定の負担を減らす
 ・ほめる
 ・ネットワーキングスペースを作る
 ・落第をどんどんやる
 ・読書が大切
 ・独創性を伸ばし独立心を高めること
 ・フィンランドの歴史

また、フィンランド人と日本人の祖先は同じで中央アジアの民族らしいということには驚きました。

とてもオススメな本です!

以下はこの本のポイント等です。

・フィンランドでは大半の家庭が共働きだ。子供たちは、近所の学校に行くので、徒歩か自転車で通学できる。ところが、お稽古ごとのためには、遠くのチームや先生のところまで行かなければならない。男の子なら、サッカー、アイスホッケーなど、また女の子ならバレーや音楽を習いに行くので、その送り迎えが必要になる。フィンランドでは自動車に高い税金がかかり、結果的に日本の2倍くらいの値段になるため、たいてい一家に一台しか車がない。そこで、お稽古ごとへの送り迎えは、お父さんかお母さんのどちらかが行かざるをえないのだ。そのために、午後3時になると、やり手の高級幹部ですら、会議中でも、「ちょっと失礼。子供の世話があるので」などと、帰宅してしまうのである。そして、高速道路は3時になると急に込み始める。

・フィンランドでは、14~15歳の時期に子供が荒れて手がつけられなくなる、という現象が起きない、と言われる。町を歩いている10代の若者たちを見ていても、服装や、髪型がきちんとしていて、いわゆる不良っぽい子供が非常に少ない。そのことと、家族の団らんがあり、親子がよく話し、親が教育に熱心で、子供がお稽古に熱中していることが、関係しているように思える。そして、成功した教育というものが、学校ではなくて、まずは家庭で始まることをフィンランドが教えてくれているようだ。

・一応、1日は7時間、1ヶ月140時間を働くことになっているが、これも推奨されているだけだ。仕事の内容は上司と話し合って決めるし、目標設定も行うが、一度仕事が決まってしまうと、あとはそれをどうこなすのかは、個人の自由に任される。フィンランド人は、一度仕事を与えられたのに、途中で上司から介入されるのを非常に嫌うのである。

・私の上司だったフィンランド人はメールを読むのは速いが、メールに回答は一切書かなかった。大事な用事があると、電話か直接会いにきて話す。そうでもしないと、とても夕方6時に帰宅はできないだろう。彼にとっては面談の方が、ずっとインタラクティブで効率の良いコミュニケーションとアイデアの発掘が可能なのだ。

・フィンランドにも、実はバブル崩壊の経済危機があった。戦後の復興が順調に進み、やっと工業国として一流になってきた1991年、突然、ソ連の崩壊が起こった。それまでにソ連向けの輸出は全体の20%を占めていたが、突然ほぼゼロに落ち込んだ。ちょうどその時期、バブル経済が進行していたために、深刻な金融危機が襲ったのである。ノキアなどの一流企業も含めて、各企業も経営が悪化し、ノキア自体も身売り先を探すほどの事態になっていた。91年から93年までの3年間でGDPは約10%も減少、失業率も数%だったものが、約17%まで上昇した。フィンランドは国家的な破綻の危機に追い込まれていたのだ。ところが、この時に、フィンランド政府は毅然とした対応をとり、矢継ぎ早に危機回避策を実行した。まず銀行業界の統廃合を進め、各銀行では大幅なリストラが実行された。さらに政府自身も、財政と行政の改革を行った。国家歳出の削減のなかで、なんと年金など社会福祉予算を大幅にカットしたのだ。それは国民全員に痛みを要求するものだった。ほかの国な、おそらくはゼネストになって、国全体が麻痺してしまうような事態になったことだろう。しかし、それを国民は受け入れたのである。そして、フィンランドはわずか4年という短期間に、この経済危機を無事に乗り切ることができた。その後の発展はめざましく、「フィンランドの奇跡」と言われている。

・フィンランドなどの欧米では、発言の機会のない会議には出席しない。何か言いたいことがあるからこそ会議に出席するのだ。ただ聞くだけの会議など、時間の無駄だ。

・新しい仕事が入ってきたとき、とくに納期が厳しいとき、日本人はどうしても、よく考えないですぐに作業に入ってしまう。しかしフィンランド人ならそんなことはしない。彼らは一度約束した以上は、きちっと納期を守るが、それが出来るかどうか、まずよく分析し、計画し、仕様書をきちっと作成する。曖昧な内容のままでは、決して引き受けることはない。これが、結局は無駄な作業を生まないこと、そして納期ギリギリで徹夜の連続にならないための、絶対条件になっている。

・欧米人の役員は、お客様、株主、社員のすべてに、満足感を与えること、喜んでもらえることを目標にしている表れではないだろうか?欧米の会社に勤めた経験でびっくりしたのは、人に会ったら、必ずスマイルすることをとても大事にしていることだ。

・強すぎる管理も、弱すぎる管理も、ともに良い結果を生まない。その中間の、ほど良い、勘所を押さえた管理がどうしても要求されるのだが、それには、リーダー(上位に立つ人)の側に「質問力」が問われるのだ。「質問力」というのは、日本語ではあまりなじみのない言葉だろう。しかし英米の企業では重要視される能力だ。そもそも、英米の大学では、いかに良い質問をするかが、徹底的に教育されるのだ。

・褒めるためには、その人をよく観察しなければならない。それは人を「思いやり」、「共感する」ことでもある。そうしてこそ、はじめて良いところが見つかる。だから褒めるのは簡単ではない。だからこそ、価値があり、褒められた人は嬉しい。心がつながったと感じる。

・職場の生産性というものは、それぞれの職場がそれぞれの知恵を出し合わないと、向上しない。そういうマインドが職場の中に出ることが、実は一番重要なことなのである。そしてそういうマインド改革のためには、絶対に後に引かないという、リーダーのコミットメントが何より大切だ。

・フィンランドの教育の一つの特徴は、独創性を伸ばすこと、独立心を高めること、そして褒める教育を行うことだ。フィンランドと日本の教育に対する考え方が、もっとも異なっている点は、教育の価値観と目的が根本的に違うことだろう。日本では「ほかの人たちと強調してやっていける人間を育てる」ことを重視するのに対して、フィンランドでは「人生のすべての面で、個人として自立した生活ができる人間を育てる」ことにある。端的に言うならば、日本では「他人から笑われるようなことをするな」とか「人様に迷惑をかけるな」と言われて育つ。だが、フィンランドでは「自分のことは自分で、自分の責任でやれ」と言われて育つ。「他人がやらないことをやれ」と奨励される。これはどちらが良いというものではなく、考え方の相違だ。

・フィンランドのもう一つの秘密は、小学校から落第をどんどんやることだ。日本では、世間体を気にして、落第は本人ばかりか親のほうが嫌う。しかし、生徒の発育スピードはみな異なるのだから、全員がそろって進級することにムリがある。フィンランドでは落第は、「権利」とみなされていて、しっかりと理解できるまで、原級にとどまることが「要求できる」のである。理解しないのに進級するほうが恥ずかしいことだという。現に、フィンランドのある首相は、人生で2回も落第を経験しているそうだ。

・もともとフィンランド人は読書好きで、図書館利用率は世界一だ。フィンランド人の80%は図書館に足を運び、年平均、一人あたり21冊を借りているという(日本は2002年の社会教育調査で、わずかに4.1冊である)。親たちが図書館に通えば、自然に子供たちも読書好きになるのだろう。

・その後110年間、フィンランドはロシア皇帝からのさまざまな圧迫を受け、苦難の道を歩んだ。独立を勝ち得たのは、なんと日本が帝国ロシアを日本海海戦で撃破しsて、その影響でロシア革命が起きたときだった。このときフィンランドは立ち上がり、困難と思われた戦争をしかけて、戦いぬいた。「もう、あの圧政はご免だ、自分の国を勝ち取るのだ」、という国民の強い願望が勝利をもたらした。いまもフィンランド人は、日本人の「ツシマの海戦(日本海海戦)」のおかげで、独立を勝ち得た、と日本人に感謝している。小さな国が大きな国に刃向かうことが可能であることを教えてくれたからだ。

・フィンランドは、いまだに東の隣国への警戒を怠らない。まず兵役がいまも敷かれていて、18歳以上の男子には6ヶ月から1年の兵役の義務がある。ただ、会社の友人たちの話によると、兵役では普段は勉強できないいろいろな実務を勉強するし、健康にも良いので、良い経験だったと言っている。射撃などの軍事訓練だけではなくて、森のなかを迷わないサバイバル技術なども身に付けさせられるそうだ。

・戦後の一時期、フィンランドは「東西の中間の特別な国」と欧州各国からは見なされていた。技術的なコンソーシアムにフィンランドが参加するのを、嫌がる国もあった。なぜなら、フィンランド経由で、大切な技術がソ連に流出してしまうのではないか、と心配したのだ。そのように欧州の仲間たちから袖にされることをフィンランド政府関係者は、もっとも恐れた。誰よりも欧州のなかの一員にふさわしい国になりたい、と必死に努力し、貢献し、その中から、携帯電話の国際標準であるNMTやGSMをまとめる、という大役を果たすことができた。いまやEUのなかでは、フィンランドは大切な存在になった。ロシアへの警戒心のことをたくさん書いたが、冷戦が終わって20年近く経過し、ロシアも内部の改革がどんどん進んでいる。ロシアも普通の経済大国に変化しつつある現在は、フィンランドも、敵視策オンリーではなくて、この国とどううまくやっていくのか、模索しているのが現状だ。

・フィンランド人の国民性は、すでに一部述べたように、
 ●恥ずかしがり屋、大げさが嫌い
 ●反骨精神(これを「シス(SISU)」と彼らは呼ぶ)
 ●頑固、信念を曲げない
 ●個人主義(自分の言い分を主張するが、相手も尊重する)
 ●強い独立心
 ●上からの圧迫・強制を嫌う
 ●約束を守る、口に出すまえに熟慮する
 ●沈黙を重んずる、口が重い、とっつきにくい
 ●他人の話をよく聞く
 ●我慢強い
 ●正直、誠実、謙虚
 ●教育を大切にする
 などがあげられる。

・では、日本人との相違点をあげてみよう。
【似ているところ】
 ●恥ずかしがり屋
 ●口が重い
 ●約束を守る
 ●謙譲の美徳
 ●言語が世界で小絶している(膠着系言語)
 ●どうやら祖先はともに中央アジアの民族
 ●オーバーな表現を嫌う
 ●ジェスチャーが少ない
 ●風呂好き、裸のつきあいをしたがる
 ●数学が得意
 ●ロシアからの圧迫、大帝国ロシアに奇跡的な勝利
 ●第二次大戦に負け、戦後の疲弊した経済を工業化で復興した
 ●教育好き。地下資源がなく、人材だけが財産
 ●国土が緑に覆われ、自然が豊富
 ●単一民族に近い、移民が少ない
 ●科学立国を標榜
 ●芸術(とくに音楽、美術)に優れている
 ●お酒が入ると、腹を割って話す
 ●八百万の神、神話がある
 ●読書が好きで、眼鏡をかけた人が多い
 ●健康に良い運動と食べ物を心がける

並べてみると、実によく似た民族だ。
では、異なる方は?
【違っているところ-フィンランド人だけの特徴】
 ●個人主義(人がどう言おうと我が道を行く)
 ●独立心が強い
 ●礼儀より、合理性
 ●政府を信頼している
 ●地方が元気、ベンチャーが育っている
 ●いまも、危機感が強い(政治的、経済的)、兵役義務がある
 ●男女平等
 ●強烈な愛国心、他国による侵略と圧政の歴史
 ●上下の区別なし(敬語なし)
 ●歴史が浅い、しがらみが少なく、改革がやりやすい

<目次>
はじめに
1章 なぜ、6時に帰って結果が出るのか
 フィンランド流 残業ゼロの仕事術
 ①「何があっても定時に帰る」と決める
  「6時に帰る」は上司の命令より大事
 ②集中力がアップする職場環境を工夫する
 ③会議はホウレンソウの時間を減らす
  アイデアが生まれるしくみを作る
  無駄な残業をさせられない理由
 ④ITフル活用でムダをなくす
  「メール洪水」を解消する方法
 ⑤「現場を知る人」が多いメリット
 ⑥部下を信用して干渉しない
 ⑦英語をグローバル言語として活用
  コラム① ガラス張りの政治(その1)
2章 今日からできる!「6時に帰る」仕事術
 6時に帰る仕事術
 ①ムダな会議をITで代用する
  社内の情報収集はイントラネットで
  定例状況報告会議が長い日本、「立ったまま会議」のフィンランド
  「残業しなければ生き残れない」という思い込み
 ②「忙しい快感」から脱却するヒント
 ③価値ある仕事と、忙しいだけの仕事の違い
  「出社→まずメールチェック→忙しく働く」の限界
 ④周囲を気にせず「良い質問」をすyる
  ブレークスルーを生む質問の条件
 ⑤”スマイル”が意外な効率を生む
 ⑥良い習慣がムリなく続くアイデア
  コラム②ガラス張りの政治(その②)
3章 部下を定時に帰すリーダーの仕事術
 6時に帰る仕事術
 ⑦議論をオープンマインドにする方法
  無言でふんぞり返っている上司に喋らせよう
 ⑧目標設定と査定の負担を減らす考え方
  「結局使わない立派な資料」をなくす
 ⑨リーダーの質問力
  「アタック・クエスチョン」の力を鍛える
  放任と「強すぎる管理」の中間が不可欠
 ⑩リーダーの応答力
  知らなくてもバカにさせないテクニック
  部下に頼らずその場で答える能力
 ⑪叱る易しさ、ほめる難しさ
  おもしろくほめるコツ
 ⑫ネットワーキング・スペースを作る
 ⑬各職場での工夫-トヨタ式ソフト生産方式
  コラム③政府による血の通った行政
4章 「フィンランド流」に学ぶワークライフバランス
 「フィンランド流」ライフの充実
 ①欧州人のスローライフ
 ②早く帰宅する意味
 ③”How are you?”に見るコミュニケーションの精神
  コラム④多忙な中でも自分の世界を見つける
5章 世界一の教育に表れた「できる人」の育て方
 「フィンランド流」人材育成のポイント
 ①ガリ勉なしで、なぜ学力が上がる?
 ②ハイレベルの教員に学ぶ「考える力」を養う方法
 ③「ダメ」のレッテルを貼らない
 ④個性を伸ばし、ほめて育てる
 ⑤使える英語を身につけるマインド
  コラム⑤子育て支援の充実
終章 高い競争力を支える文化と歴史を知る
 「フィンランド流」を生み出す文化力
 ①質素な生活から生まれる哲学
  豊かで不便な自然の中で暮らす目的とは
  キッチンの合理性にもフィンランド人らしさが現れる
 ②豊かな生活と四季
  長く寒い冬を楽しむ知恵
  ビジネスがストップする「長い夏休み」
 ③フィンランドの歴史
  -苦難の末に勝ち取った独立の重み
 ④フィンランド人と日本人の国民性を比べてみる
  コラム⑥サウナの話
おわりに
参考文献

面白かった本まとめ(2010年下半期)

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