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「「余命3カ月」のウソ(近藤誠)」という本はとてもオススメ!

<金曜は本の紹介>

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 この「「余命3カ月」のウソ」という本は、抗がん剤の毒性・拡大手術の危険性などを一般の人にもわかりやすく啓蒙を続けて2012年「第60回 菊池寛賞」を受賞した著者が書いたものです。

 著者はがんの放射線治療を専門とし、乳房温存療法のパイオニアとして知られ、患者本位の治療を実現するために医療の情報公開も積極的に進めているようです。

 著者は、20年以上「がんは切らずに治る」「抗がん剤は効かない」「健診は百害あって一利なし」「がんは原則として放置したほうがいい」と言い続けているようです。

 この本の内容は、日本で従来から信じられてきた「がん対策」の疑問について明らかにし、よりがんと共生して長生きする方法について述べたものです。

 従来の考え方と著者の考えには、以下のような違いがあり驚きましたね。
私自身も先入観があり本当かな?と当初は思いましたが、具体例や海外の状況等を読むと、著者の言っていることが正しいかなと思います。

①は従来で、②は著者の考えとなります。

①がんは切除するのがよい
②がんは放置するのが長生きになる

①がんを初期切除すればがんの転移はない
②がんは当初から転移する能力を備えている

①抗がん剤は効果がある
②抗がん剤は副作用や急死を含む「縮命」作用が伴う

①玄米と野菜しか食べないなどの食事療法ががんに効果
②食事療法で体重を激減させると体力が落ちてがんが増殖

 著者も研修医時代は、がんは積極的に抗がん剤や手術で治療するのが当たり前だと思っていたようですが、患者が抗がん剤の毒性で苦しみそして命を縮めるのを見て疑問を抱き、それでがん治療の理論を考え抜き、がん放置療法を確立したようです。

 著者は、慶應大学病院の外来で最長23年以上にわたり、「がんを治療しない」患者を150人以上診てきましたが、その中に初診で普通に歩いて来て1年以内に逝ったというケースは一つもなかったようです。
 特にスキルス胃がんは悪性度が高く進行が速いとされ、見つかると同時に「余命3カ月」と言われる患者も多いようですが、「治療しない」と決めた著者の患者は診断から数ヶ月で亡くなった方は皆無で、逆にスキルス胃がんを抱えて普通に仕事や好きなことを続けて3年から9年も生きた方は何人もいるようです。
 元気な人が、あっという間に変わり果てた姿で逝くのは、今までのがんの治療のせいのようです。

 それから本書を読んで、「がんもどき」が「がん」と判断されるのが多いというのには驚きましたね。
 「痛い、苦しい、食べられない」などの自覚症状がないのに、健診や人間ドックで見つかったがんはほとんど「がんもどき」のようです。
気をつけたいと思います。 

 それから検診で受けるCT・レントゲン・マンモグラフィなどの放射線や放射線治療による被爆にも注意が必要のようです。

「「余命3カ月」のウソ」という本は、がんに対する考えが深まり、長生きのヒントにもなり、とてもオススメです!

以下はこの本の内容等です。

・医者が余命を宣告するときはたいてい、短めに伝えます。だから、余命を言われた人の6割近くは、宣告より長く生きています。なぜ余命宣告は短めなのか。ひとつには、患者さんが万一早く亡くなられた場合に、家族などからとがめられないように、つまりリスクヘッジのために、最悪の場合を想定して伝えるから。「1年は大丈夫です」と言っておいて、3カ月で患者さんが亡くなったら、医者として面目が立たない。また生存データを見せて「同じ症状の患者さんは1年前後で亡くなられているケースが多いです。しかしがんは個人差が大きい。こんなに長生きしている人もいますよ」と正しく伝えると、患者さんを治療に追い込むには、迫力に欠けます。それで「治療しないと余命3カ月」とキッパリ短く言い切ったり、ひどい医者は「放っておくと明日、亡くなってもおかしくない状態」などと脅しにかかるわけです。なぜ、そうまでして治療をさせたいのか。治療をしないと医者としての仕事がなくなって、暮らしていけないからです。「おまんまの食い上げ」は、誰だって困ります。治療が命綱の医者にとって、余命は短く言えば言うほど「うまみ」が増します。まず、治療をやりたい放題やるために、これほど重宝な道具はありません。患者さんも家族も、多くは「医者がウソをつくはずがない」と信じていますから、「余命3カ月」と奈落に突き落とされ、「でも、手術や抗がん剤で治療すれば2年生きられる」と希望を与えられると、「先生にお任せします」とすがりついてしまう。その裏には「がんは放っておくとあっという間に死ぬ」という、思い込みがあります。医者はその恐怖を逆手にとって余命を短く言うほど、脅しが効き、治療しやすくなる。そして万一、手術の合併症や抗がん剤の毒で患者さんが亡くなったときも、遺族に「もともと手遅れで余命3カ月だったし、難しい手術になると言われてたから仕方ない。先生方は、あらゆる手を尽くしてくださった」と感謝してもらえます。逆に、患者さんが宣告より長く生きれば生きるほど「先生のおかげです」と、これもまた、感謝。手術したのが「がんもどき」なら再発も転移もしませんから、「先生に手術できれいに取ってもらったおかげで、がんが治った。神の手だ」と称えられます。「余命3カ月宣告」は医者にとって、いいこと尽くめというわけです。

・がんは、あいまいさや「もどき」の大変多い病気です。たとえばマンモグラフィだけで見つかる「乳管内乳がん」は、名前はがんでも無害な「がんもどき」です。世界のデータを見てもそれは明らかなのに、ピンクリボン運動などで「乳がんは早期発見・早期治療すれば100%治る。定期的に検診を」と、盛大にPRしています。無意味な手術で、乳房を丸ごと切り取られる患者さんも多い。「早期発見・早期治療でがんを取ったから、5年たっても私は元気。ラッキー」と喜んでいる人は、不用意に体を傷つけて、損をしたのです。世間にあふれる「がんが消えた」「奇跡の生還」ストーリーも、おできとおなじ「がんもどき」が自然に消えたのを「がんが治った」と吹聴しているだけです。がんと言われても、苦痛がないなら様子を見るのがいちばんです。どうしても治療したいなら、「その診断は正しいのか」を、よく調べてください。医者にがんの治療を勧められたら、まずは「本当にがんなのか」を確かめること。
 ①顕微鏡での組織検査でがんと確認された。
 ②定期的な検査(胃レントゲン、内視鏡、超音波、CT等)のデータがあり、それを行った医者からデータをもらえる。
最低限、この2つを満たすようにしてください。そしてもし本当にがんとわかっても、なんとかして治療を先延ばしにしてください。

・がんは、エイリアンやウイルスのように外からきたものではなく、もともと自分の中にあった正常細胞が、ちょっと変化して育ってきたものです。がんはある日突然生じるのではなく、最初に1個のがん幹細胞が生まれてから健診などで見つかるまでに、何年も何十年もかけて育ってきます。正常細胞とがん細胞の違いは「秩序」です。がん細胞は、無秩序に分裂していく「暴走族」。体からの命令を無視して勝手に増殖を続けます。細胞の形も崩れています。がん細胞と正常細胞の遺伝子は、構造や機能がほぼ共通しています。だから、がん細胞を殺す抗がん剤は、必ず正常細胞も殺してしまうことになります。

・本物のがんと「がんもどき」の違いはただひとつ、臓器への「転移」の有無にあります。本物のがんは、最初の1個のがん幹細胞の時点で「全身に転移して増大し続け、宿主の命を奪う」性質を備え、直径0.1ミリ時点でも転移する能力を持っています。これは、肺や大腸のがんが急に脳や骨に飛んでいくわけではないんです。本物のがん細胞は、まず周囲の血管やリンパ管の壁を食い破り(浸潤)、続いて血液やリンパ液にのって全身をめぐります。そして今度は肝臓や脳の血管壁に取りついて食い破り、そこで増殖してかたまりを作っていきます。最初に転移が起きた時点では、CTから超音波検査まで、どんな最新鋭機で検査をしても、がん細胞を見つけることは不可能です。なぜなら今の検査技術では、がんが直径1センチ前後、重さ1グラム、細胞約10億個の大きさに育ってからでないと「転移巣」として見つけることができないからです。転移がんを治す方法は見つかっていないので、転移が見つかったらまず、治るのをあきらめることが第一歩です。治そうと思うと無理な治療に走り、命を縮めやすいからです。症状の緩和、延命といった、現実的な目標を立ててください。

・僕は、がんの病巣を切り取る手術はできるだけ避けたほうがいいと思います。延命効果ははっきりしないのに、あまりに手術のリスクが大きい。医者に言われるまま手術に突入し、「まさかこんなことになるとは・・・」と愕然とする患者さんや親族を、僕は数え切れないほど見てきました。「初期の肺がんが検診で見つかり、症状もないのに切除手術。すると術後の経過が悪く、2カ月で死去」「喉頭がんのリンパ節転移が見つかり、手術で首の組織をざっくり切除された。声はまともに出ない、食事は長時間かかる、首はひどく変形・・・という術後の厳しい現実にうつ病を患い、結局がんも再発」。こういう痛ましい事例を、身近でも見聞きされていないでしょうか。今まであった臓器を取ると、なくなったことによる脱落症状が起きます。それでやせ細って体力もなくなり、退院後もげっそりやつれたままになりやすい。いったん切り取った臓器や神経は、二度と再生しません。また医者の判断や手元がちょっと狂っただけで重い障害や死に直結します。手術を勧められたら「その後どういうことになるのか」を、できるだけ具体的にシュミレーションしてください。

・分子生物学の研究が進んで「がんは当初から転移する能力を備えている。がんが大きくなってから転移するという説は間違い」ということが、はっきりしてきています。がんが直径1cmに育ってから発見されるのは、NK細胞が、がん細胞を敵として見分けられなかったから。「免疫系ではがんを排除できない」証拠です。実際、「胃がんを手術しなかった患者の生存率」の複数のデータで、抗がん剤を使った人、免疫療法をやった人の5年生存率はどちらも20%以下、治療をしなかった人のほうがずっと長生きで、5年生存率が50%という数字が出ています。免疫細胞療法の治療費は高額で、「がんを抑え込みたいなら一生続ける必要がある」と毎月数十万円を請求されたりします。詐欺にのせられないでください。

・僕も研修医時代は、がんは積極的に治療するのが当たり前だと思っていました。助手になり講師になってからも、たとえば乳がんの治療に、当時欧米でスタンダードになっていた、日本一強い抗がん剤を使っていた時期もあります。けれども患者は毒性で苦しみ、数人は明らかに、命を縮めてしまった。それで抗がん剤治療に疑問を抱き、改めて臨床データ論文を読み込んで分析し、がんの原理にまでさかのぼっていき、治療の理論を考えました。すると手術、放射線、がんの早期発見などについても、臨床経験からさまざまな疑問がわき起こりました。さらに臨床データ論文を読み込み、理論を再構築する作業を続けました。一貫していたのは、「どうしたら患者さんがいちばん苦しまずに、長生きできるだろうか」ということ。そこを基点に無理や矛盾のない診療方法を考え抜いて「がん放置療法」を確立しました。「患者よ、がんと闘うな」(文藝春秋)のときは、実際に診ていた、がんを放置した人が少なかったけれど、それから臨床を重ねて最近、理論がさらに深まってきました。固形がんの最前の治療法は「無治療」。治療は、がんによる痛みや苦しみが出てきたときだけ、生活の質(QOL)を維持するためにやれば十分です。これは世界で最も新しい治療法であり、がんへの最善の対処法と確信しています。がん放置療法の基本は、まず余命宣告など忘れること。そうつらくなく日常生活を送れるうちは、あわてて治療をしないで、様子を見ることです。そして息苦しい、食べられない、痛いなどの症状が出てきたら病院に行って、苦痛をやわらげる緩和ケアをしてもらう。これだけ。とてもシンプルです。

・医者のすすめるがん治療のウソを見抜く、9つの心得をまとめてみます。
 ①元気なのに「余命3カ月」「余命半年」はありえない
 ②人はがんで、すぐには死なない
 ③検診を受けない。受けても忘れる
 ④リンパ節まで切り取っても、がんは治らない
 ⑤検診で受ける放射線量に要注意
 ⑥治療法がひとつ、ということはない
 ⑦セカンドオピニオンは、違う病院の違う診療科で
 ⑧「免疫力」よりも「抵抗力」
 ⑨無治療が最高の延命策

・抗がん剤は、大変高価な薬ですから、たっぷり使えば使うほど、病院の収入は増え、製薬会社もうるおう。それも乱発の一因です。「もうからない」ことはあと回し。たとえば「乳がんには、この経口抗がん剤は効果がない」とわかっていても、より効果のある方法を前向きに考えることはない。人件費と手間を考えると採算が合わないからです。医学は科学なのに、治療法を決める動機のかなりの部分が「もうけ」にある。本来は学会が新しい医学を広めたり、教育指導する立場にありますが、日本の学会は役割を果たしていません。健康行政にかかわる官僚も含めて、「自分たちの一挙手一投足が多数の人命にかかわる」という発想にはならない。利権がからんでいるからです。整理すると、抗がん剤の開発・販売でもうける製薬会社。その製薬会社から多額の寄付などを受けて治療ガイドラインを作る学会幹部。そのガイドラインを丸暗記して専門医資格試験をクリアするがん専門医。ガイドラインに沿った治療を行わないと、医療裁判になったときに負けるから、治療も、盲目的にガイドライン通りに行われます。天下りの問題もあります。2010年、厚労省は自ら、同省や国立病院に在籍していたことのあるOB29人が、国内の製薬会社15社に再就職していた、と発表していまs。病院は抗がん剤を使うほどもうかり、患者・家族は「医者の言うことをきかないと見捨てられる」という恐怖があるから素直に従う。マスコミは「がん難民」「夢の抗がん剤」などと患者をあおって販売部数や視聴率を上げようとする。がん産業が巨大化するほど、国の税収は増える。がんが実にいろいろな人の「めしのタネ」になっていて、持ちつ持たれつ。抗がん剤は特にもうかるから、拒否する人が増えると困る人が無数にいる。そこがいちばん大きな問題です。

・がんが見つかると、患者も家族も多くは「治療しない」ことに耐えられず、「やれることはすべてやりたい」というワナにはまります。その中には抗がん剤も含まれます。1990年、アメリカ議会に提出された技術評価局報告書h、「抗がん剤、放射線などは病巣を一時的に縮小させるが、この縮小は無意味であり、延命効果が認められないうえに、患者の生活の質を悪化させる」と断定しています。抗がん剤を使うと、がん細胞が急速に抵抗力をつけ、かえって悪化するだけでなく、患者の免疫や肝臓などの機能に壊滅的打撃を与えるという意味です。厚生省(当時)の研究班も、手術後の抗がん剤使用について「延命効果、生活の質の向上効果がない」と認めています。抗がん剤は、1割のがん(小児がん、血液のがんなど)にしか効かないことを専門家も認めています。また、日本で認可されている抗がん剤の半分以上が、欧米では認可されていません。日本では、抗がん剤が医薬品として認可されるためには、臨床試験で、奏効率が2割でよく、その際、治癒効果、延命効果などは、考慮されてきませんでした。奏効率が2割とは、「2割の患者が、4週間以上主要の大きさが半分以下になればよい」ということ。つまり8割の患者に無効でも、4週間だけの効果でもよいということです。最近は抗がん剤によって引き起こされる嘔吐などを抑制するため、吐き気止めが使われています。今まであった吐き気がなくなると、患者さんは「抗がん剤が効いている」と勘違いしえ、今までより長期間、抗がん剤の治療を受けることになります。すると、抗がん剤の毒性がますます強く出て、寿命を縮める結果になることが多い。

・イレッサに代表される新しいタイプの抗がん剤「分子標的薬」が、このところ続々とがん細胞を効率よく狙い撃ちできる、というのが分子標的薬の売り。従来の抗がん剤は、正常細胞もがん細胞も含めた不特定多数の「増殖スピードが比較的速い細胞」をターゲットにしていました。それに対して分子標的薬は、「細胞の増殖、浸潤、転移などに関わる、がん細胞に特有の分子」をターゲットにします。がん細胞を狙って作用させられるなら、副作用を抑えながら治療効果を高めることができるはずです。しかし、現実は真逆でした。肺がん治療薬イレッサは2002年、「画期的な夢の新薬」としてさっそうと登場し、世界に先駆けて日本で発売されました。しかs、医者がイレッサの副作用のことなどをよく知らずに、安易に投与したケースが多かったこともあり、たくさんの患者さんが重い副作用としての間質性肺炎に陥りました。4000人以上の患者さんの、大規模な追跡調査が行われ06年にその結果が報告されました。イレッサを服用して間質性肺炎や急性肺障害を発症した人は約4%、亡くなった人は約1.6%にものぼりました。100人がイレッサを服用すると、1~2人が亡くなる、という恐ろしい薬害です。特に「間質性肺炎などの肺障害がある」「喫煙歴がある」「体力が低下している」などに該当する人は、イレッサによる重い副作用を被りやすいことがわかっています。その間に「イレッサには延命効果がない」という臨床試験結果も発表されています。分子標的薬は、がん細胞に存在する特定のタンパクだけに抱きつき、その働きをさまたげる物質で、血液のがんである慢性骨髄性白血病では、目覚ましい効果がありました。それで固形がんに対しても、乳がん、肺がん、大腸がん、腎がん等でさまざまな分子標的薬が開発・認可されています。しかし、固形がんには延命効果は認められなかったのです。その理由はまず、細胞内の分子の働きが複雑だから。各細胞には2万種以上ものタンパクがあるので、そのうちひとつを分子標的薬で抑え込んでも、ほかのタンパクによって細胞機能を維持できる場合が多いのです。また、ターゲットになるタンパクは正常細胞にも存在するので、そえを死滅させた結果毒性が生じて、時には患者さんを死に至らしめる。だから十分な量を投与できない。従来の抗がん剤から進化したつもりが、結果は同じだったわけです。

・医者は毎年何千人も生まれているのに、日本の人口は年々右肩下がり。病人、けが人だけ診ていたら、患者さんは先細りです。それで健診・検診で元気な人の中から「病気」を掘り起こし、いらない治療をして、医療界の繁栄を図っている。医者不足の問題も、意味のに健診、がん検診、人間ドックに人手が取られ、救急医療など絶対必要な部分が手薄になっている、という構造があります。フィンランド保健局が15年がかりで行った追跡調査で、「医者の健康指導は、体によくない」ことが、はっきりしています。「まじめに定期健診を受け、異常が見つかったらライフスタイルを改善したり、治療をする」という努力は皮肉にも、命を縮めるのです。5年間の試験期間のあとは全員、自由に任せたら、10年後、信じがたい結果が出ました。せっせと「体にいいこと」に励んだ介入群は、病死、自殺、事故死、総死亡数とも、すべて放置群よりずっと多かったのです。この皮肉な結果から「薬を使っていくら数値を改善しても、健康長寿にはつながらない」「検査で異常があると言われて落ち込んだり、いやいや運動したり、好物をひかえなければならない精神的ストレスは、寿命を縮める」ことが推測できます。体は自分のものです。検査の数値に従わないで、体の声を聞いてください。

・最近「子宮頸がんワクチン」と称し、パピローマ・ウイルスの予防ワクチンの接種が、小中学女子にも盛んに奨励されています。しかし、がんの予防には全く無意味です。子宮頸がんの原因は、性行為で感染するヒト・パピローマ・ウイルス。このウイルスは子宮頸部の上皮を増殖させ、イボを生じさせ、粘膜を増殖させて、がんとそっくりの病変をつくります。しかしこれは、遺伝子の傷ではなく感染が原因の「上皮細胞の慢性変化」「慢性感染症」でしかありません。診療を国が仕切るスウェーデンのデータなどを見ると、検診で発見されるゼロ期のがんは、部位に関係なくほぼ「がんもどき」。僕自身も10人以上の治療しない子宮頸がんを診てきましたが、ゼロ期と思われた数人の病変は、やがてすべて消えました。ゼロ期の子宮頸がんには、ほぼ100%、ウイルス感染が見られます。しかし「ワクチン接種で本物の子宮頸がんを防ぐことができた」という実証は、ひとつも出ていないんです。子宮頸がんワクチンは、副作用も心配です。肩の近くの筋肉に注射するので大変痛くて、失神、発熱、頭痛などの訴えが続出しているほか、長期間にわたって運動機能低下や歩行不能が続いているケースもあります。検診で子宮頸がんが見つかって、治療をする場合のことも、お話ししておきます。日本では1期~2期は手術、3期~4期は放射線治療が行われています。欧米では1期~4期すべてが放射線治療の対象です。治療成績は、1期と2A期では手術と放射線治療の生存率は同等、2B期では放射線のほうが上回っています。もし手術を選んでしまうと、骨盤の中にあるリンパ節まで広く切除されます。また周囲の、膀胱や直腸を支配する神経まで切れてしまいます。すると排尿・排便がうまくいかなくなる。子宮がん切除手術を受けた患者さんの一部はカテーテル(管)を、そのつど尿道にさし込んで排尿しなければならなくなります。放射線治療ならば、手術と比べものにならないほど合併症や後遺症が軽くすみます。特に1B~2A期では、全摘術ではなく放射線治療をすべきです。

・国内のCT装置の台数はダントツ世界一で、全世界の設置台数の3分の1以上を占めていまう。放射線検査による国民被ばく線量も、発がん死亡率も、世界ワーストです。日本の医療現場では、がん検診などによって、1年間で長崎、広島に落とされた原爆の数発分の放射線量を受診者や患者に当て、医療被ばくによるがんで亡くなる人は推定、毎年13,500人という説もあるほど。イギリスの研究によると、日本は「がん死亡の3.2%は医療被ばくが原因」「世界15カ国中、最もCT検査回数が多い」「発がんへの影響は英国の5倍」という医療被ばく大国(2004、医学誌(ランセット))です。欧米の医療の専門家っちは、医療被ばくの発がんリスクを前提にして、患者保護に動いています。

・CT検査では、360度全方向から体にエックス線を当てて、人体の輪切り映像を見て診断します。被ばく線量はレントゲンの200~300倍!これは1回だけのCT撮影でも、発がん死亡のリスクが生まれる量です。45歳の人の場合、「被ばくにより発がん死亡する」確率は、全身CT1回で1万人中8人(0.08%)、30年間毎年受けると、1万人中190人(1.9%)と推定されています。

・やや太めのほうが長生きする理由として、研究チームが挙げたのは「体脂肪が増えると心臓を保護する」「慢性疾患にかかったときに、体脂肪が多いほうが体力が保てて有利」など。僕もがんの患者さんに「体の抵抗力をつけるのがいちばん。特にコレステロールは細胞を丈夫にするので、減らさないことが大事です。ウナギでもトロでもステーキでも、好きなものをなんでも食べて、ちょっと太ったほうが長生きしましょ」とアドバイスします。がんを治療しない、と決めた患者さんが、自分で見つけてきた食事療法に走ったら、今までおとなしかったがんが、信じられないような増殖のしかたをして、あっという間に亡くなられた。そういうことが今までに2度ありました。食事療法というのは「玄米と野菜しか食べない」「牛肉と乳製品は食べない」など、ないない尽くしの、体重を激減させるものがほとんどです。すると体力が落ちて、がん細胞をのさばらせてしまうのではないかと思います。メタボ健診でなにか言われても、よほどの肥満体でない限り、好きなものをバランスよく楽しく食べるのが、長寿のもとです。

・僕は病院に行かないので、がんがわかるのは「ものが食べられない」などの症状が出て、調べたら胃がんで胃の出口が狭くなり、あちこち転移していた、というような末期段階でしょう。食事、呼吸、排泄だけは損なわれないように、狭くなったところを広げるステント挿入術などをして、痛みは鎮痛剤やモルヒネでコントロールする。そしてできる限り、今までと同じ生活を続けたい。体力ががんに負けて寝たきりになったら。理想としては、自宅で、身内に看取ってもらうのがいちばん幸せだと思います。

・治療法を決めるにあたり、僕ならこういうスタンスでいきます。
 ①がん細胞は自分の体の一部。だから敵対視しないで、共生する道を考えてみよう。
 ②がんの成長は、世間で思われているほど速くない。早期がんも進行がんも、今の大きさになるまでに、5年、10年、時には30年もかかっている。だから「治るか治らないか」の運命は、診断の前にほとんど決まっているはずだ。
 ③その運命が、診断後1ヶ月や2ヶ月のうちに変わるとは考えにくい。だから、あせらず腰を据えて、治療を受けることが損か得か、受けるとしたらどの治療法にするか、じっくり見極めよう。
 ④がんで死ぬのは自然なことだけれども、治療で死ぬのは不自然で、不条理だ。それに副作用や後遺症のない治療法はないから、治療のデメリットのほうもよく考えよう。
 ⑤治療が苦しくても、治療後にラクになることが確実なら、治療期間中と直後の時期はがまんしよう。
 ⑥逆に治療前より日常生活が苦しくなり、それが一生続くなら、本当の意味の治療ではない。手術で胃や食道などの臓器を摘出したら、わずかな例外を除いて、ふつう手術前より苦しくなり、不便が一生続く。従って摘出手術の多くは、治療として失格。また副作用が強い抗がん剤治療も、ずっと続けなければならないなら失格。
 ⑦本物のがんはほぼ、治癒ではなく延命が目標になる。しかし人それぞれの本来の寿命がわからないから、治療によって延命したのかどうか、本当のところはわからない。あるかないかわからないのに「延命をもたらす」という治療法に賭けると、人生がめちゃくちゃになる恐れもある。
 ⑧だから発想を転換して「日々の生活能力が保たれ、これからの日常をよりラクに過ごすことができる治療」を選ぶ。それは結果的に延命の可能性につながるだろう。
 ⑨たとえば手術と、臓器を残せる放射線治療がある場合は、放射線を選ぶ。がん切除手術はほとんど役に立たず、手術以外の治療法で十分という例が少なくない。たとえば、子宮頸がん、食道がん、膀胱がんの進行がん、前立腺がんなどは放射線治療をやってみて、手術を考えるのは、その結果を見てからで十分だと思う。手術をするにしても、臓器を全部取るのではなくて縮小手術でよい場合がある。たとえば、乳房温存療法など。日本では、がんの転移や再発予防と称してリンパ節の廓清(ごっそり取ってしまうこと)を非常に広い範囲に行うが、世界的にはその意味が認められていない。切除するにしても、もっとずっと狭い範囲でよく、リンパ節の廓清も必要ないことが多いから慎重に。
 ⑩医者に「この手術には1%の可能性がある」と言われたら、100%助からないと考える。まれに生きる人がいても、それは手術をしたからではなく、何もしなくても同じだった。1%と言われた場合、手術で助かったり、いい結果が出る可能性はゼロ。
 ⑪巨大図書館、書籍・雑誌・新聞、ネットなど、あらゆる情報源にああり、治療成績や生存率のデータも調べて、判断の材料をできるだけ豊富にしよう。

・Q:私は数年に1回、大腸のポリープを取る手術をしています。医者に「このまま放っておくとがんになる」と言われているのですが、本当ですか?
 A:それは治療費を稼ぐためのセールス・トーク。ポリープはがんには移行しません。もし移行するなら、ポリープの頂にがんができて病巣が広がり、それが崩れて進行がんになるはずです。その移行段階の病変が、全く見つかっていないんです。また「大腸がんは、一見正常な粘膜の部分から急に立ち上がってくる」ことを証明した日本人医師がいます。欧米でも「すべてのポリープを切除しておいても、大腸がんが発生する」ことがわかってきたため、「大腸がんはいきなり発生する」説が、世界で支持されつつあります。

<目次>
はじめに
第1章 偽りだらけの余命宣告
 医者が、余命を短く言う理由
 余命宣告の歴史
 余命の診断に3カ月以上かかる
 5年生存率と、20年目の転移・再発
 ケーススタディ がんを治療しないとどうなるか
 ケース1 CT検査で肺がんが見つかり「すでに4期で全身に転移」
      →3年9カ月生存
 ケース2 手術から4カ月で逝った中村勘三郎さん
 診断を忘れたほうが長生きする
 放射線治療なら食道を残せて生存率は同じ
 治癒率は12%
 手術への不安を語り続けた
 手術は大成功。しかし・・・
 治療をいっさい拒んで7年生き、消えるように逝く
 ケース3 乳がんの乳房全摘手術を断ったら、23年変化なし
 手術をいっさいしないという選択
 ケース4 スキルス胃がん「無治療」で、10年近くふつうの日常を
 症状がないから、手術お断り
 がんが9センチになっても無症状
 緩和ケアをしながらロシアや沖縄を旅した
 手術さえしなければ、穏やかに死ねる
第2章 余命とはなにか
 余命はとても幅広い
 生存期間中央値とは
 リード・タイム・バイアスという仕掛け
 データの落とし穴に要注意
 見かけ倒しの延命効果
 医者が、データを見せない理由
 余命を聞かない、という選択
第3章 がんとはなにか
 なぜ、本物のがんは治らないのか
 がんはあいまい
 がんと闘う、という無茶
 苦しみ抜いて死に至るがん治療
 正常細胞は品行方正、がん細胞は暴走族
 発がんバケツがいっぱいになると
 転移と余命
 どういう状態で生き延びるのか
 がんの手術で、まさかこんなことに・・・
 がんを切り取る手術は危険がいっぱい
 メスが入るとがんが暴れ、体が不自由になる
 手術が成功した=治った、わけではない
 手術をしすぎる日本人
 進化した放射線治療
 「ドカンとがんを焼く」重粒子線治療のリスク
 免疫ではがんを防げない、治せない
 積極治療から、がん放置療法へ
 がんの早期発見・早期手術は無意味
 早期胃がんは、がんではない?
 がんの進行について
 マンモグラフィも子宮頸がんワクチンも無意味
 欧米と日本では、がんの定義が違う
 がんの転移が2~3年以内に出る理由
 がんもどき理論誕生のきっかけ
 他臓器に転移しないがんは、命を奪わない
 医者にだまされない、9つの心得
第4章 余命を縮める抗がん剤の正体
 日本は抗がん剤後進国
 抗がん剤でがんが消えても、必ずリバウンドする
 効かない抗がん剤がはびこるカラクリ
 抗がん剤はもうかる
 抗がん剤の縮命作用
 欧米の常識は、抗がん剤=毒
 抗がん剤にはNOと言おう
 イレッサで死者857人。延命効果なし
 死も副作用のうち
第5章 予防医学が余命を削る!
 百害あって一利なしのがん検診
 早期発見は「患者を呼ぼう」医学
 日本でだけ盛んながん検診
 乳がん検診群のほうが短命
 子宮頸がんワクチンで防げるのは、がんもどき
 実は原発事故よりこわい、医療被ばく
 CTスキャンの被ばく線量は、レントゲンの200~300倍!
 メタボ健診は寿命を縮める
 がん、老化と共生する生き方
第6章 限られた余命を、どう生きるか
 態度を決める自由
 心のよりどころ、というとりで
 人は死んでも、まわりの人の心に生き続ける
 どのように、人生を去るか
 もし僕が進行がんになったら
 治療法を自分で選ぶ
 治療法の決め方
 病院の外に、健康な日を3日下さい
Q&A 余命のギモン ケーススタディ
付録「がん」に関するアンケート結果
おわりに

面白かった本まとめ(2013年上半期)

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  5. デザインのたくらみ(坂井直樹)

  6. 「わが子を東大合格に導く「父親力」(星野哲)」という本はとてもオススメ!

  1. お読みになられましたか。
    お読みになられましたか。

    こういったお話には、一方的に
    否定をする方もおられますが
    いろいろな意見として
    受け止めて、ご自身で判断される
    ことが肝要かと、わたしは思うの
    です。

  2. いつもコメントありがとうございます!!
    いつもコメントありがとうございます!!

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