「7日間で突然頭がよくなる本」という本は、「頭が良い」=「物事の本質をつかめる」という意味で、その物事の本質をつかむ秘訣をまとめたものです。
実は著者はあまり頭がよくなかったようです。
就職先の商社で落ちこぼれ、その後フリーターとして4年半を過ごし、司法試験を受けても箸にも棒にもかからず、その後30歳になってなんとか市役所に拾ってもらうのですが、そこでも落ちこぼれたようです。
しかし、著者は哲学することで物事の本質をつかみ「頭がよい人間」に生まれ変わることができたようで、今ではテレビや新聞で発言し、高専や大学で教え、20冊もの本を出すことができるようになったようです。
哲学というのはすごいんですね^_^)
本書では具体的には以下の7日間のメニューで構成されています。
1日目:社会のことを知る
2日目:哲学の知識を身につける
3日目:哲学の論理パターンを使いこなす
4日目:物の見方を変える
5日目:言葉の意味を膨らませる
6日目:言葉を論理的に整理する
7日目:一言でキャッチーに表現する
まずは1日目の「社会のことを知る」ことが大前提で、次に3日目の「論理パターンベスト10」をつかいこなすことが重要かと思いました。
また、4日目の「物の見方を変え」、5日目の「言葉の家族、仲間、敵を分類」し、6日目の「言葉を論理的に整理」して1つの文にまとめることも大切だと思いましたね。
とにかく考え続けることが大切なようです。
それから、本書は全体的に文字は少なく、とても分かりやすく簡潔にまとめられていて、理解しやすくとても良いと思います。
しかも、最後には演習問題もあり「考えるとは何か?」「90分とは何か?」「インターネットとは何か?」について演習及び解答例を学ぶこともできます。
「7日間で突然頭がよくなる本」という本は、頭が良くなる秘訣について分かりやすく書かれていて、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・自然学、歴史、文学、時事のそれぞれについて、何でもいいからどん欲に読み続けるべきでしょう。実はこうした教養はリベラル・アーツと呼ばれます。文法学、論理学、修辞学、幾何学、算術、天文学、音楽の7科目を指したことから、かつては自由7科と呼ばれていました。現代では幅広く教養科目のことをリベラル・アーツと呼んでいます。リベラルとは自由という意味ですから、人を自由にする科目といった意味です。もっというならば、人の自由な思考を可能にする教養を意味するのです。
・私たちは教養を深めれば深めるほど、自由な思考を手に入れることになるのです。しかもそれは読書するだけで成し遂げられるのです。だからいつでも誰にでもできるはずです。もっとも、時事については読書だけでは足りません。文字通り日々のニュースを追いかける必要があります。世の中は常に動いているからです。新聞でもテレビのニュースでもインターネットでもいいでしょう。とにかくいま世の中で何が起こっているのかをよく見極めることです。
・一目でわかる哲学史
<古代ギリシャ>
ソクラテス→無知の知、問答法
プラトン→イデア説
アリストテレス→現実主義
<中世>
アウグスティヌス→プラトンの二元論的世界観をキリスト教に援用
トマス・アクィナス→アリストテレスの目的論的世界観をキリスト教に援用
<近代>
デカルト→生得観念論
ロック→経験の重視
カント~ヘーゲル→ドイツ観念論
マルクス→社会主義
キルケゴール→実存主義
<現代>
デリダ、ドゥルーズ→ポストモダン
アドルノ→否定弁証法
アメリカの政治哲学→リベラリズム
・哲学概念ベスト30
<必須の10個>
△カテゴリー
:物事を階層的に分類する
△主観と客観
:主体と客観に分けて考えてみる
△時間と空間
:物事を時間軸と空間軸の図表の上に位置づける
△イデア
:物事には目に見えない本質がある
△運動として捉える
:静止しているものを運動の途中と考えてみる
△弁証法
:マイナスをプラスに変える発想をする
△差異として捉える(否定弁証法)
:差異を重視する
△構造主義
:物事を構造の中でとらえる
△因果関係
:物事を原因と結果という関係の中で把握する
△人間にとっての意味
:人間にとってどのような意味があるのかという視点人間の存在を前提に考える
<プラスアルファの20個>
△普遍と特殊
:普遍的な側面と特殊な側面に分けて考える
△矛盾状態(撞着語法)
:物事を矛盾した状態にあると見る
△現実と理想
:現実の状態と理想の状態に分けて考える
△上部下部構造
:下部構造と上部構造の二段階構造でとらえてみる
△観念と実在
:観念という頭の中の世界と、実在という実社会の世界の二つを想定
△限界(臨界)状態
:何でも複数の物質が衝突した結果、臨界状態にあるととらえる
△量より質
:量と質の両側面に分けて考える
△強度
:種類だけでなく、インパクトの強さで分類する
△メタファー
:何かにたとえる
△脱構築
:解体して一からとらえ直す
△記号
:物事を記号として表現する
△目的と手段(道具主義)
:目的と手段という関係でとらえる
△システム
:物事を一つのシステムとしてとらえる
△一元、二元、多元論
:物事を一元的、二元的、それ以上の多元的な次元でとらえる
△権力関係を見出す
:物事の背後に権力関係を見出す
△感情と理性
:物事を理性的側面と感情的側面の両面からとらえる
△存在論
:物事を存在という視点からとらえる
△意志を見出す
:物事の中に意志を見出す
△帰納と演へき
:個別の事象から考えるか、一般原則から考えるか
△規範として捉える
:「~しなければならない」ととらえる
・頭がよい人は頭の中がきれいに整理されているものです。頭の中に入ってくる情報を瞬時に種類に分け、階層化していくことができるのです。そして本質的な内容を選びとっていくわけです。
・頭がよい人というのは、誰が何をしたのかという主体と客体の区別がしっかりできているものです。子どものときからよくいわれたものです。「いったい誰が何をしいたのか、きちんと説明してごらんなさい」と。これは大人になっても同じです。とりわけ日本人は、主語は省く、述語も省くで、いったい何がいいたいのかさっぱりわかりません。「日曜はちょっと」といわれても、アメリカ人には通用しないでしょう。不思議なことに、日本ではこれが通用するのですが・・・。
・頭がよい人は、時間的・空間的把握能力に優れています。「いつ、どこで」という時間軸、空間軸の中に対象を位置づけることができるのです。わかりやすくいうなら、頭の中に時計と地図がきちんと備わっているのです。それが物事を捉える最低限のフレーム(枠組み)のように機能するのです。哲学の世界でも、時間の概念と空間の概念というのは、やはり物事を論じるうえでのフレームみたいなものです。したがって、多くの哲学者たちがこれらについて論を展開していきました。
・頭がよい人は物事の裏にある正体を見抜くのが得意です。どんなものでも見たまま信じるのではなく、何か裏があると見るのです。そうしてそれを見抜きます。裏というと悪いものであるかのようですが、要は真の姿です。これを古代ギリシャの哲学者プラトンは、イデアと呼びました。彼の哲学の中核をなす概念で、もともとは物の姿や形を意味しています。ただ、形といっても私たちの目に見える形ではなく、いわば心の目によって洞察される物事の真の姿、事物の原型を指しています。感覚によってとらえられるものは移ろいゆくものですが、イデアは永遠不滅の存在なのです。そしてあらゆる物事はイデアの影にすぎないため、私たちには本当の姿を見出すことが求められます。
・頭がよい人というのは、ある意味で超人です。どういうことかといいますと、普通の人とは違うものの見方ができるからです。例えば止まっているものを動いていると見ることができるのは、もう超人の域ですね。ただ、物事の本質を見抜くには、そうした視点が求められるのです。そこで、物事を運動状態として見る必要が生じます。
・頭がよい人は問題の解決が得意です。問題点や矛盾点をうまく解消し、誰もが納得のいく答えを導き出します。それは単なる妥協ではなく、発展的な第三の道といっていいでしょう。妥協とは何かを諦めることであって、それでは周囲の納得を得るのは困難です。実は、この頭がよい人のやっている問題解決思考こそ弁証法にほかならないのです。哲学の世界で弁証法といえばヘーゲルなのですが、彼の思想を一言で表現すると、「発展」という言葉がぴったりではないかと思います。主著である「精神現象学」でも、意識がより高次のものへと発展していく様を描いていますし、社会哲学分野の代表的作品「法の哲学」でも、権利あるいは共同体が発展していく様を描いているからです。講義録を見ても、例えば彼の「歴史哲学」は発展史観がベースとなっています。そして、彼の論理学の基本となっているのは、まさに物事が発展していく様を説明するこの「弁証法」なのです。このように、ヘーゲルの哲学はすべて物事が発展していく構成をとっているといえます。そして、その中心となる理論が弁証法なのです。問題が生じたときに、それを克服して、さらに一段上のレベルに到達する思考方法を指します。これによって一見相入れない二つの対立する問題を、どちらも切り捨てることなく、よりよい解決法を見出すことができるのです。
・ヘーゲルの弁証法は、「正→反→合」、あるいはドイツ語で「テーゼ→アンチテーゼ→ジンテーゼ」などと表現されます。止揚するとか、アウフヘーベンするとかいわれることもあります。いわば問題点を生かしつつ保存しようというのです。つまり、ある物事(テーゼ)に対して、それに矛盾する事柄、あるいは問題点が存在するような場合に(アンチテーゼ)、これらを取り込んで、矛盾や問題点を克服し、より完璧に近い発展した解決法(ジンテーゼ)を生み出すという方法です。これは単なる二者択一による妥協や折衷案とは違います。物事は何でも矛盾を抱えています。正の側面もあれば、他方で必ず負の側面も有しているのです。それでも物事は存在しています。言い換えるならば、いかなる問題も乗り越えられないはずがないのです。さらにいうならば、この弁証法のプロセスは一回きりで完結するものとして想定されてはいません。矛盾、問題点は常に生じてきます。したがって、そこには永遠に続く円環を描くことができるのです。つまり、アンチテーゼはテーゼの否定ですが、それと同時にさらなるテーゼとジンテーゼを媒介するものとしても位置づけることができるのです。このように捉えると、実は最初のテーゼが、抽象的なレベルではあるものの、その後の展開をすべて内包しているといえます。あたかも種子が結実した果実をすでに内包しているように。
・頭がよい人は、何でもかんでも一つにまとめようとはしません。弁証法は、まさに一つにまとめる思考法でしたが、場合によってはそれが負の効果をもたらすこともあるのです。例えば、せっかく違うニュアンスのものを一つにしてしまうことです。企画などもそうですね。A案とB案は微妙な違いがあって、そこがいいところなのに、強引に一つにまとめてしまうといったことです。そこで、差異を差異のまま残しておこうとする思考が否定弁証法です。否定弁証法とは、まさにヘーゲルの弁証法を否定する内容の哲学であるといえます。つまり、弁証法が矛盾を乗り越えて一つにまとまろうとする論理であったのに対して、否定弁証法はそれを拒もうとするのです。
・頭がよい人は、物事を全体の中で捉えることができます。木を見て森を見ずといいますが、目の前の現象だけにとらわれていては、本質は見えてきません。何事も、他の物との関係の中で存在しているのです。もっというならば、全体の中で存在しているのです。その全体は、構造と呼ぶことができます。したがって、いかにして構造を見抜けるかが本質をつかむうえで重要になってくるのです。
・頭がよい人は何でも原因と結果の関係で捉えることができるものです。そうすることではじめて、対象となっているものが存在する理由も見えてきます。物事には原因があり、その原因をさかのぼっていけば必ず究極の原因があるとするものです。
・頭がよい人ほど、常識を疑う力を持っています。なぜなら、それは大変なことだからです。誰が雪は熱いと考えますか?誰が人間に水は不要だと考えますか?でも、それが新発見の始まりであり、本質をつかむための糸口となるのです。
・各々のグループを一つの言葉で説明できる状態になれば、今度はそれを一文にします。その際、先ほどの10の哲学概念が有効に機能します。例えば、Aは主体で、Bは客体。かつBはXという構造の中でとらえられるというふうに。そうして整理ができれば、次は国語の問題です。うまく一つの文章にするのです。国語の問題といいながら、実はここで使えるのが英語の基本文型なのです。皆さんも中学のときに習ったことがあるのではないでしょうか。S+Vは第一文型、S+V+Cは第二文型といったものです。なぜ英語の基本文型を使うのかというと、英語は主語・述語が明確な論理的構造を有しているからです。その点は日本語と大違いです。
・論理的に話せない人へのとっておきのアドバイス
1.グループにわける
2.グループ内の複数の言葉を1つにまとめる
3.10の哲学概念を使って整理する
4.1つの文にする
<目次>
まえがき 頭がよくないと生き残れない時代
1日目 社会のことを知らないと物事の本質は見えない
社会のことを知らなければならないワケ
社会を知る方法
知識を詰め込もうとしてはいけない
教養を深めると自由な思考が手に入る
知識があると概念が膨らむ
2日目 頭がよくなるためのボキャブラリーを増やそう!
なぜ哲学の知識なのか
哲学史の学び方~5分でわかる哲学史~
哲学概念の学び方
必須の10個
プラスアルファの20個
3日目 頭がよくなるための論理パターンベスト10
物質の本質をつかむカギ
①カテゴリー-種類ごとに階層的グループに分ける
②主観と客観-主体と客体で区分する
③時間と空間-時間軸と空間軸に位置づける
④イデア-物事の正体を見抜く
⑤運動として捉える-動いている途中として見る
⑥弁証法-マイナス要素をプラスに転じる
⑦差異として捉える(否定弁証法)-差異を重視する
⑧構造主義-構造の中で捉える
⑨因果関係-原因と結果の関係として見る
⑩人間にとっての意味-人間の存在を前提に考える
4日目 まずは100通りの物の見方で頭をほぐそう
なぜ頭をほぐす必要があるのか?
物の見方を変える
常識を疑う
5日目 言葉の家族、仲間、敵を探そう
関連させる
言葉の家族
言葉の仲間
言葉の敵
幸福の場合
6日目 論理的に話せない人へのとっておきのアドバイス
論理的に話せない理由
グループに分ける
10の哲学概念で整理する
一文にする(英語の基本5文型が役立つ)
グループ内の言葉を一つにまとめる
7日目 一言でキャッチーに表現するためのコツ
最後は磨き上げる
抽象的に表現してみる
キャッチーに表現するための6つの技
大事なことは考え続けること
演習問題
あとがき 頭がよくなるためにはモチベーションを維持することが大事
主な参考文献
<今日の独り言>
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