<金曜は本の紹介>
この本は、2001年の流行語大賞の語録賞を「人間て、なかなか死なないものだ」というセリフで受賞した武智三繁さんの、37日間の漂流について書かれたものです。
エンジントラブルから漂流が始まって食料がなくなり、水がなくなった後、釣り糸を垂らして魚を釣り、やかんの蒸気のつくるしずくで生き延び、台風の中を闘い、おしっこで口を潤わせ、グラマーな裸の女が横たわっているのが見えて勃起するようになり、そして救助された時の模様が分かります。
救助された時は、声が出なくなっていたのでジェスチャーで水を要求し、熱湯を飲んだようなピリッとした痛みを喉に感じながら、口のまわりや顔にあふれてだらだらこぼしながら、針のように細い隙間から少しずつ水を飲んで、自分がぐーっと生の側に動いていくのがはっきりと分かったようです。
次に空腹感が襲ってきたので巨大なおにぎりをもらったのですが、喉がすれていて、飲み込もうとすると痛かったので、少しずつ水を飲みながらおかゆのようにして飲み込んだようです。
さすがにうまかったようです。
この本は、サバイバルの観点からも一度は読んだ方がよいと思います。お勧めです。
<目次>
はじめに
1 漂流した男の気持ち
黒潮に流され、37日間の漂流をした男が生還した。マスコミは「奇跡の生命力、驚異的な体力」と大々的に報じた。だが当の武智三繁は「あれはオレじゃない」と横を向いた。
2 炭鉱の島で育って
長崎県崎戸島はかつて石炭景気でにぎわった。武智は炭鉱町も友だちも、両親もいなくなった島にもどってきた。30年ぶりの海で、彼は一人であることの楽しみを知った。
3 エンジンが動かない
繁栄丸は美しかった。その快適な8畳間空間が、大型船舶の行き交う近海を流されていく。携帯電話の「圏外」マークを見たとき、楽観は焦りに変わった。
4 食料も水もない
降るような星空の下、最後のスープをすすった。最後の水は、一気に飲み干した。空腹と喉の渇きを忘れるために、漁師は釣り糸を垂らした。
5 炎暑と海水と歌謡曲
流れ藻となって漂う船のまわりを、イルカたちが泳ぎまわる。一滴の雨、やかんの蒸気が作る熱いひとしずくに、生命が目覚める。男は静かに眠るのでしょう・・・・・・歌謡曲の調べが波間に消えていく。
6 荒れる海の記憶と現実
8月お盆、乾燥と塩気で固まった口で父と母の戒名を唱えた。そのとき超大型の台風が襲ってきた。たのみの綱のシーアンカーが切れたとたん、彼は荒海に飛び込んだ。
7 夢と死、あるいは生存
死んでいる、死んでいるモード。暗いまぶたの奥で、裸の女があやしくうごめいている。聞こえてきたのは、「いけますかーっ」と呼びかける声だった。
8 おわりに
<今日の独り言>
インターネットで電子ピアノの椅子を買いました。約2.5万円とちょっと高かったのですが、実物はかなりしっかりしていて、満足です!!YAMAHA製でした。
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